2020年に東京オリンピックを控え、今まで以上に外国人観光客への対応に改良が必要になってきている。15年には訪日外国人観光客が過去最高を記録し、今後もこの記録が更新される可能性が大きいわけだが、これに伴い、宿泊施設も様々な対応が迫られることは必至だ。
この流れを受け、トイレや入浴施設でおなじみの住宅施設・機器メーカーのTOTO(5332)は「訪日外国人の宿泊施設へのニーズ調査」を実施した。調査方法は街頭調査で、調査人数は154人。出身国はヨーロッパや北米、アジアなど30カ国。彼らは日本の宿泊施設をどう見ているのだろうか?
まずは旅行する前に彼らが何を宿泊施設に期待していたのか質問したところ、1位は「接客」という結果が出た。他国と比べ、物腰が柔らかく、丁寧な接客はやはり前評判もいいようだ。次いで2位と3位はトイレと入浴である。日本人が持つ高い衛生観念は、よく掃除された美しいトイレに表れていると言っていいだろう。入浴に関しては、温泉を期待している旅行者の意向が反映されているのだろう。
それでは実際に日本の宿泊施設に滞在してみた後の感想はどうなのだろか。「日本の旅館・観光ホテルのトイレを利用して、その設備を二度と利用したくないと感じたことは?」との問いで圧倒的に多かった回答は「和式トイレ」であった。
和式トイレを使い慣れていない外国人にとって、これは辛い経験になったに違いない。そもそも現在、日本人でもこの和式トイレを使えない人がいるほどだ。外国人観光客を呼び込もうとする宿泊施設は今後、和式トイレ問題を解決しなければならないだろう。一方、和式トイレ問題以外では、67.5%という大部分の回答者が「二度と利用したくないと感じたことはない」と答えている。
次に、「トイレ・洗面所・お風呂の使い方がわからないときどうしましたか?」と質問したところ、30.5%が「わからないまま使った」と答えた。そして16.2%、15.6%がそれぞれ「従業員に聞いた」「説明書があった」と回答。電話して従業員に使い方を聞けば、お互いの言葉がわからなくても身振り手振りで意思疎通できそうなものだが、バスルームというプライベートゾーンに従業員を入れるのをためらう外国人は結局、使用法がわからないまま使ってしまうのかもしれない。
それでは最後に、「宿泊施設で重視する設備は?」「宿泊施設に求めるサービスは?」との問いに対する回答を紹介したい。
外国人が宿泊施設で重視する設備の1位、84.4%はWi-fi、求めるサービスの1位53.2%が外国語の説明書という結果がそれぞれ出たが、この二つの回答には密接な関係性があるように見える。なぜwi-fiの需要が高いかといえば、それは「わからないときに調べる」からである。
手持ちのスマートフォンをwi-fiにつなぎ、自国の言葉で不明点を検索すれば解決できることが多い。それではなぜ、わざわざインターネットで検索するのか。それは外国語の説明書がなかったり、従業員が外国語を話さないからである。
インターネットにつなげることができれば、ガイドブックやパンフレットさえ持たなくても観光が可能な時代だ。だからこのような時代だからこそ、wi-fiに高い需要があるのは確かなのだが、もし今後、日本人の外国語スピーカー人口が上がった場合でもこのようなwi-fiの需要は健在なのだろうか。
ホテルの従業員をはじめ、店の予約や観光地の案内等で外国語を話す日本人が増えれば、外国人観光客も今ほどインターネットに頼らなくて済むような気がしてならない。
ただ、我々日本人が外国語を習得している間はインターネットにそのお役目を果たしていただこう。いつまでかかるかわからないが。(編集担当:久保田雄城)