国会で審議中のいわゆるヘイトスピーチ規正法案(自民・公明提出)に対し、日本弁護士連合会は会長声明で12日までに「不当な差別的言動」の対象は「適法に居住する者」に限定せず、在留資格のない人に対しても適用するよう法案の条文を修正して成立させるよう求めた。
日弁連は、法案について「法案は前文において、蔓延する深刻なヘイトスピーチが『地域社会に深刻な亀裂を生じさせている』ことを指摘し、『このような不当な差別的言動は許されないことを宣言』したことを評価する」と評した。
そのうえで、法案第2条で「不当な差別的言動の対象を『適法に居住する者』に限定している点は、在留資格のない者はヘイトスピーチの対象となってもやむを得ないとの解釈を生じさせる危険がある」と指摘し「このような限定は削除されるべき」と条文修正を求めている。
日弁連は「ヘイトスピーチは個人の尊厳を著しく傷つけ、差別や偏見を醸成するものであることからその防止が求められているのであり、個人の尊厳や差別を受けない権利は在留資格の有無にかかわらず等しく保障されなければならない人権」と強調。
また「国連人種差別撤廃委員会も『人種差別に対する立法上の保障が、出入国管理法令上の地位にかかわりなく市民でない者に適用されることを確保すること、および立法の実施が市民でない者に差別的な効果をもつことがないよう確保すること』と勧告している」と、修正の必要を訴えている。(編集担当:森高龍二)