企業の性的少数者「LGBT」への対応が広がる中、保険業界も多様性を受け入れる風土が生まれつつある。同性のパートナーも保険金受取人として認める保険会社が急速に増えており、手続きの簡易化が進んでいるのだ。
企業の性的少数者「LGBT」への対応が広がる中、保険業界も多様性を受け入れる風土が生まれつつある。死亡保険金の受取人に指定できるのは、基本的には戸籍上の配偶者または2等身内の血族であるが、同性のパートナーも受取人として認める保険会社が急速に増えており、手続きの簡易化が進んでいる。
2015年10月に取り組みを公表したライフネット生命保険<7157>を皮切りに、日本生命保険や住友生命などの大手生保も手続きの簡易化を実施。ただし、何をもって同性パートナーとするかの線引きが各社によって異なる。
ライフネット生命やアスモ少額短期保険は、同居を証明する住民票や互いの直筆書面など所定の手続きを踏めば同性パートナーも受取人として認められるが、日本生命、第一生命<8750>、オリックス生命などは、渋谷区の「同性パートナーシップ証明書」があれば手続きがスムーズになる。
同性パートナーシップ証明書は、病院での面会や住居の賃貸契約において、戸籍上の家族ではないことを理由に断わられた場合、区が是正勧告をした上で事業名などを公表できる。婚姻ほどではないが効力が期待できるため、保険業界も影響を受けているのだろう。
一方、パナソニック<6752>は、同性パートナーも結婚と同じように認める方針を明らかにし、結婚や配偶者の対象を広げて慶弔休暇や介護などに関わる制度を利用できるようにするとした。日本IBMは1月から「同性のパートナー登録制度」を開始し、条件を満たせば慶弔金などを受け取れる。レナウン<3606>は自治体の証明書があれば結婚や介護の制度を適用でき、NTTドコモ<9437>は生計をともにする同住所のパートナーも家族割引などの対象とした。
各業界がLGBTを意識し、対応を広めることで、多くの人が同性婚の必要性を考えるようになった。国際オリンピック委員会が「性的指向による差別禁止」を掲げているのもあり、20年の東京五輪に向けてスポンサーを中心に取り組みの拡大が予想される。(編集担当:久保田雄城)