田辺三菱製薬の連結子会社であるタナベ インドネシアが、興和との独占的開発・販売実施権の許諾に係るライセンス契約に基づき、インドネシアにおいて、高コレステロール血症治療剤「ピタバスタチンカルシウム(一般名、ピタバスタチン)」(日本国内での販売名:リバロ錠)の販売を開始した。
ピタバスタチンは、日産化学工業にて原薬が創製・製造され、興和により開発・製剤製造・販売・他社提携などのグローバル展開が独占的に実施されている。国内では2003年7月に製造承認を取得し、同年9月より販売を開始しており、日本における2010年度のリバロ錠の売上高は450億円に達している。
興和は、ピタバスタチンを核とした医薬品事業のグローバル展開を目的に、海外における医薬品開発ならびに商品化を積極的に推進。これまでに、米国および中国をはじめとする各国で上市しており、2011年5月には欧州初となるスペイン、2012年2月には中南米地域ではじめてとなるメキシコでの販売を開始しており、今回のインドネシアでの上市により10ヶ国目。今年中には世界五大陸での上市を予定しているという。また、田辺三菱も、海外医薬品事業展開の推進に取り組んでおり、アジア地域における事業基盤の強化と自販品目の拡大を推進中である。
田辺三菱製薬の2011年度決算では、売上高が前年比0.6%減の4071億円。ジェネリック医薬品の影響などが逆風となっている国内向けだけでなく、海外医療用医薬品も28億円のマイナスとなっているなど、厳しい状況にある。一方で、海外売上比率は2010年度6.3%であるのに対し、2011年度は7.0%と増加傾向にある。このように、海外での事業が重要度を増す中で、市場の確立されていない新興国は、特に重要な市場と言えるであろう。今後より一層、新興国でのシェア争いが激化するのではないだろうか。