ルネサス、子会社の半導体後工程事業の譲渡先が決定

2013年01月30日 20:12

  経営再建に向け、大胆かつ抜本的な改革を求められているルネサスエレクトロニクス<6723>。昨年10月末付け早期退職応募者数が7000人を超え、今年に入ってからも3000人規模の早期退職者を募集すると発表するなど、その適否は別として人員削減は比較的順調に進んでいた。一方、昨年7月の「強靱な収益構造の構築に向けた諸施策の方向性について」にて「1年を目途に譲渡を検討する」とされた拠点については何も聞こえてこず、従業員や地元に不安が広がっていたのではないだろうか。この譲渡先が漸く決定した。

  譲渡先となったのは、大分県に本拠を置く国内最大の独立系半導体後工程受託会社ジェイデバイスである。そして譲渡対象となるのが、いずれもルネサスの100%子会社である、ルネサス北日本セミコンダクタ(北セミ)の函館工場、ルネサス関西セミコンダクタの福井工場およびルネサス九州セミコンダクタの熊本工場、ならびに北セミの100%子会社である北海電子において営んでいる半導体後工程製造事業である。平成25年6月上旬を目途に譲渡を完了する予定で、各工場の従業員は、個別同意による転籍を前提に、一定期間の出向となる予定だという。

  今回の譲渡に関する基本合意は、譲渡対象拠点における競争力の強化、高品質・高信頼製品の継続的な供給、長期的なパートナーシップの構築を求めていたルネサスと、海外競合他社と同等以上のコスト競争力を達成するために事業規模の拡大を図っていたジェイデバイスの思惑が一致したことによるもの。本件取引によりジェイデバイスは、OSAT(Outsourced Semiconductor Assembly and Test)として世界TOP5に入る規模となる見込みだという。

  NECエレクトロニクスとルネサス テクノロジが合併しルネサスエレクトロニクスが発足したのが2010年の4月。当時のルネサスは「スピード経営」を標榜していた。結果、わずか3年を持たずしての「スピード崩壊」。早期退職制度応募者の集まり方や今回の譲渡先の決定なども確かに「スピーディー」である。ある意味で、企業理念に乗っ取った顛末なのかもしれない。(編集担当:井畑学)