半導体・電子部品の実装装置市場は後退、検査装置市場に期待

2013年02月01日 10:34

 総合マーケティングビジネスが、半導体や電子部品の実装装置及び検査装置の世界市場について発表した調査データによると、2012年の半導体実装装置市場(対象:ダイボンダ、ワイヤボンダ、バンプボンダ、フリップチップボンダ、COGボンダ)は、前年比4.7%減の1,766億円が見込まれるという。対象装置5品目の内、最も規模が大きいのが市場構成比59%であるワイヤボンダ。これはIC・メモリ分野向けではダイボンダ1台につきワイヤボンダ5~8台が導入されるため。メモリ用途では、コスト削減を目的としたワイヤのCu(銅)化が進んでおり新規需要も拡大しているが2012年、2013年と、前年比マイナスが予想される。次ぐダイボンダはLED分野の設備投資減少の影響により、2012年は前年比マイナスとなった。要因としてはスマートフォンや車載電装向けで単価の高いIC・メモリ分野が比較的好調であるが、LED分野の減少分は補えないからだという。

 また、電子部品実装装置市場(対象:高速モジュラーマウンタ、中速モジュラーマウンタ、低速モジュラーマウンタ、多機能高価格モジュラーマウンタ、多機能中価格モジュラーマウンタ、混載モジュラーマウンタ、スクリーンプリンタ)は、前年比18.0%減の2,261億円が見込まれている。対象装置7品目の内、最も規模が大きいのが市場構成比58%の高速モジュラーマウンタ。次ぐのが多機能中価格モジュラーマウンタとなっている。市場が大きく縮小するのは、主要需要地域である中国のEMS大手から中小までもが、発注元の一つである欧州の経済が不況であることや、自国の金融引き締め策により、設備投資をペンディングしたことが大きく影響した。2013年は前年比プラスと予測されるが、各ベンダーによる新規高速マウンタの投入が本格化し限定された大口ユーザーへの営業攻勢が強まり、より一段と装置の価格競争が激化することで、低成長に留まるという見解だ。今後は、エレクトロニクス製品の数は増加するが、基板点数の減少やソフト産業の進化によるハードビジネス市場の縮小など、市場にとってのマイナス要因が多くなると考えられる。

 さらに検査装置市場は、前年比5.3%増の761億円が見込まれる。対象装置5品目の内、最も規模が大きいのが市場構成比44%のマウント後とリフロー後の外観検査装置であるAOI。次いでプリント基板用AOI、クリームはんだ印刷後の外観検査装置であるSPIと続く。AOI、SPIはまだ拡大余地が大きい。現状でもハイエンドラインには必須の検査装置となっているが、実装ラインの増加と、検査装置搭載比率の高まりが期待されているという。プリント基板用AOIは高密度な多層プリント基板(HDI)を製造する際、不可欠の検査装置であるため今後も堅調に推移するだろう。

 少し前まで実装装置市場は世界的に見ても伸長傾向であったが、ここ数年は後退気味である。2015年の半導体実装装置市場は2011年比1.4%減の1,828億円が予測される。これはLED分野の需要が下火になったためであり、今後はパワー半導体やIC・メモリ分野向けが市場の中心となると考えられる。また、電子部品実装装置市場は2013年以降、プラス成長が続くが、2015年は2011年比マイナスが予想される。一方では、新興国向けに低価格機が投入され、ユーザーの裾野は拡大するという見方もある。そのためメンテナンス対応や補修部品ビジネスの提供などが求められていく流れになるだろう。しかし検査装置市場では、2015年、2011年比32.8%増の960億円が予測されなど、低価格化が課題であるが、グローバル生産における品質管理需要の高まりから今後も市場は拡大すると考えられる。(編集担当:宮園奈美)