【今週の振返り】薄商いで息切れし40円下落したメジャーSQ週

2016年06月11日 20:14

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雇用統計ショックでも大幅安は避けられ、メジャーSQ週の火曜、水曜は連騰。「いつもと違うぞ」と思わせたものの、商いが薄くてエネルギーが続かなかった。

 2時に5月の景気ウオッチャー調査が発表され、現状判断指数は-0.5ポイントの43.0で2ヵ月連続悪化。先行判断指数は1.8ポイント上昇の47.3で4ヵ月ぶりの改善。内閣府の基調判断は「弱さがみられる」。5月の企業倒産件数は前年同月比7%減で、3ヵ月連続マイナス。返済猶予について金融機関の姿勢が柔軟になっている。上海市場はマイナスで再開し、徐々に下げ幅を圧縮する展開。2時台の日経平均はプラス圏の16700円台後半をキープして、お仕置きは10時台ですんだのか先物売りで崩される気配なし。そして終盤は、為替が円安方向に反転してドル円が107円台を回復し、日経平均は再び高値更新態勢。16800円を超えても休むことなく大引けまで上昇が続き、高値引け。終値は155円の3ケタ高で16830円。TOPIXは1350台に乗せて終えた。日経平均先物日中取引も高値引け。メジャーSQ週の火曜日、水曜日の「鬼門」は、ダメージのひどい下落を経験することなく連勝で通過することができた。

 日経平均終値は155.47円高の16830.92円、TOPIX終値は+10.20の1350.97。売買高は16億株、売買代金は1兆8207億円で薄商いには変わりない。値上がり銘柄数は1248、値下がり銘柄数は557。プラスは27業種で、その上位は空運、石油・石炭、水産・農林、ゴム製品、パルプ・紙、海運など。マイナスは保険、非鉄金属、鉄鋼、ガラス・土石、その他金融、不動産の6業種。上海総合指数は終盤プラスにタッチしたものの0.3%安で終えて4連休に入った。

 9日の日経平均は大幅反落。ヨーロッパ市場はロンドンは上昇、大陸ヨーロッパは下落。NYダウは66ドル高でS&P500とともに3日続伸。終値18000ドル台は4月27日以来。NASDAQも反発した。材料はもっぱら原油先物価格で、昨年7月以来の1バレル51ドル台に上昇しダウは終始プラス圏。要因は在庫減とともにナイジェリアでの油田襲撃事件。株高はテロリストのおかげ? 旺盛な個人消費を反映してクレジットカード残高がリーマンショック以来最高になったという。朝方の為替レートはドル円が106円台後半、ユーロ円が121円台後半で前日朝よりやや円高。CME先物清算値は16815円だった。

 取引時間前に4月の機械受注統計が発表され、「船舶、電力を除く民需」受注額は-11.0%で、市場予測の-3.7%を大きく下回る2年ぶりの悪さだった。製造業は2ケタの悪化。内閣府は基調判断を「持ち直しの動きがみられるものの、4月の実績は大きく減少した」に変更した。はたして4月だけの現象ですむかどうか。5月のマネーストック速報は「M3」の月中平均残高が+2.8%増。日銀はマイナス金利の効果をどう評価しているのか?

 JPXが公表した日経平均先物の取引手口情報によると、7、8日は6月限から9月限へのロールオーバーが順調に進んだと読み取れる。それが「今月の鬼は怖くなかった」理由のようで、50ドルを超えた原油先物価格の回復がその背景にありそうだ。為替の円高と機械受注の弱さを受け日経平均は88円安の16742円で始まる。TOPIXもマイナス。それでも序盤はおおむねプラスで9時34分に16785円まで上昇するが、その直後から下落が始まって下げ幅を拡大。10時台に入ると16700円も割り込み、10時26分に16680円まで下げる。早朝は107円にタッチしていた為替のドル円が106円60銭台まで円高進行。上海市場は「端午節」で9日、10日は休場。鬼の居ぬ間に洗濯。それでも経済統計は中国国家統計局から発表があり、5月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で+2.0%、前月比は-0.5%。ともに市場予測を下回った。生産者物価指数(PPI)は前年同月比-2.8%で、市場予測の-3.3%を上回った。

 日経平均は10時台後半、16700円台を回復してもすぐに割り込むような弱い動き。11時に5月末時点の東京都心5区のオフィス空室率が発表され、4.05%で前月比で0.18ポイント低下し2ヵ月連続の改善。平均賃料は前月比で+0.25%で29ヵ月連続の上昇。しかし為替の円高と日経平均の下げの動きは止まらず、11時台になると11時21分に16642円の安値更新。もっとも新興市場はいろいろ話題があり買われて全面高。日足一目均衡表の雲の上限16668円を割り込めばすぐ反発し、これが下値のサポートラインになる。前引けは153円安の16677円だった。

 昼休み中に為替は106円60銭近辺で動きが止まる。後場の日経平均は前引けよりもやや低く始まり、16700円に届かないままジリジリ値を下げる。雲の上限のサポート機能も失われ、1時台は16600円も割り込み1時17分に16587円まで下げる。為替レートは動かないので、他の要因。韓国の1年ぶりのサプライズ利下げなのか? 来週の日米中央銀行イベント待ちなのか? 23日の英国の国民投票待ちなのか? LINEの上場を韓国の親会社ネイバーがまだ認めていないという報道が伝わって新興市場が暗転した。その後は16600円台前半の小動きから、2時台には16600円台後半に上がって雲の上に出て、16700円も超えたが、終盤には下げて162円安の16668円。まるで神業のように、1円のズレもなく雲の上限にジャストミートした。

 日経平均終値は162.51円安の16668.41円、TOPIX終値は-13.56の1337.41。売買高は16億株、売買代金は1兆7853億円。20億株、2兆円割れは5営業日連続。値上がり銘柄数は541、値下がり銘柄数は1280。プラスは鉱業、石油・石炭、電気・ガスの3業種で、どれも為替の円高でメリットが出る輸入セクター。非鉄金属1業種はプラスマイナスゼロ。マイナスは29業種で、その下位は銀行、保険、空運、パルプ・紙、その他金融、輸送用機器などだった。上海市場は休場。

 10日の日経平均は続落。ECBのドラギ総裁はブリュッセル経済フォーラムで構造改革を訴えたが、ヨーロッパ市場は揃って下落。原油先物価格は終値50ドル台で4営業日ぶりに反落し、NYダウも19ドル安で4営業日ぶりに反落し18000ドル割れ。NASDAQ、S&P500もマイナスだった。卸売在庫も卸売売上高も市場予測を上回り、新規失業保険申請件数は4000人減で予想外の改善だったので、ダウは終盤に下げ幅を圧縮した。長期金利も金先物価格も上昇。オバマ大統領が前国務長官のクリントン氏支持を正式表明。IDCが2016年の世界パソコン販売見通しを-7.3%に下方修正。PCからスマホへのシフトが進む。ペルーの大統領選挙は大接戦の末にクチンスキー氏が勝利しケイコ・フジモリ氏は惜敗。朝方の為替レートはドル円が107円台前半、ユーロ円が121円台前半で、ユーロ円は3年2ヵ月ぶりの円高水準。CME先物清算値は16635円だった。

 取引時間前に発表された5月の企業物価指数は前年同月比-4.2%で市場予測と一致。前月比は+0.2%と改善した。「メジャーSQ」の日の日経平均は30円安の16637円で始まる。TOPIXもマイナス。序盤、下落幅を拡大したところで9時4分にSQ値が出る。16639.11円でその時点の高値16643円より下で「まぼろしのSQ」ではなかった。SQ値が出ると、ドル円が107円を割り込む為替の円高ともあいまって下げが加速し、16600円も16550円も下回って9時29分に16522円の安値をつける。これは日足一目均衡表の「雲」の下の水準。しかし雲の厚さは126円しかない。ドル円が円安方向に振れて107円台を回復すると、日経平均は反発して9時台のうちに16600円台回復。しかし為替は107円台で変化がないのに10時台は16500円台後半に下がり、値動きがだんだん小さくなる。長期金利が-0.145%まで下がり、過去最低更新。日経平均はそのまま前場を終え、前引けは81円安の16586円だった。