電動アシスト自転車市場、拡大の鍵はバッテリーの大容量化

2013年02月03日 19:04

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2013年の電動アシスト自転車市場の成長は、8Ah以上のバッテリーを搭載した商品をどれだけ手ごろな価格で市場に投入できるのかに懸かっている。(写真は2012年8月に開催されたヤマハ発動機のPAS試乗会にて)

 2010年に日本国内出荷台数が38万台を超え、バイク全体の出荷台数を年間で上回った電動アシスト自転車。2011年は、震災の影響により自転車全体の市場が拡大。中でも電動アシスト自転車は、通勤・通学用、幼児2人乗せ用など、ニーズに合わせた様々な車種が市場に登場したことにより、益々シェアを拡大していた。そんな電動アシスト自転車の2012年の動向はどうであったのか。

 自転車産業振興協会のデータによると、電動アシスト自転車の生産は、数量・金額ともに1月から3月までは前年を大きく上回ったものの、4月以降は数量が前年割れに転じ、5月には金額も前年割れに。出荷に関しても数量・金額ともに前年を上回った月の方が少なく、震災による特需の反動が明確に出たように見える。しかし一方で、低価格な商品が多く市場に登場しているにも関わらず、平均単価に関しては多くの月で前年同期を上回っており、市場全体も縮小には転じていないようである。

 一方で、ジーエフケー・ライフスタイルトラッキング・ジャパン(GFK)のデータによると、2012年の電動アシスト自転車販売は数量で前年比24%増となっている。本データは、全国のGMS(大規模小売店)やホームセンター、家電量販店における電動アシスト自転車の販売動向をまとめたものであり、町の自転車店のデータは加味されていない。しかし、自転車産業振興協会のデータでも例年自転車の販売が減少する11月の出荷は数量・金額ともに前年度を上回り、特に数量に関しては前年同月比123.8%もの伸長を見せており、GFKのデータでも11月12月の販売が大きく拡大していることを考慮すると、電動アシスト自転車市場全体では、依然として成長が続いていると見るべきなのかもしれない。

 この成長を後押ししているのが、ニーズに合わせた車種の多様化だけでなく、バッテリーの大容量化であろう。パナソニックサイクルテックが3月1日から販売を開始する電動アシスト自転車「ジェッター」には、パナソニック<6752> 独自の13.2Ahバッテリーが搭載されており、走行距離約54Kmを実現している。その他、ヤマハ発動機<7272>のPAS2013年モデルは、従来の6.6Ahから8.7Ahへとバッテリー容量を拡大しており、走行距離の伸長を実現。ブリジストンサイクルから発売される2013年モデルのアシスタDXも同様のバッテリー容量アップを実施している。

 先のGFKのデータによると、8Ah以上のバッテリーを搭載した商品の数量構成比は2011年の32%から2012年は53%へと上昇。競争の激化により価格も低下しており、結果、8Ah以上の商品群の販売数は前年の約2倍にまで拡大しているという。現在は8Ah未満の商品との差別化が図れているものの、近い将来、バッテリーの更なる大容量化は不可避であろう。2013年の電動アシスト自転車市場の成長は、8Ah以上のバッテリーを搭載した商品をどれだけ手ごろな価格で市場に投入できるのかに懸かっているのではないだろうか。(編集担当:井畑学)