2020年度を目途に、東海道・山陽新幹線用の新型車両「N700S」を投入する方針であることをJR東海が発表した。「S」の由来は「Supreme(最高の)」。N700系シリーズの中で最高の新幹線車両であることを表したという。
2020年度を目途に、東海道・山陽新幹線用の新型車両「N700S」を投入する方針であることをJR東海<9022>が発表した。「S」の由来は「Supreme(最高の)」。N700系シリーズの中で最高の新幹線車両であることを表したという。
主な特徴は3つ。地震時のブレーキ距離をさらに短縮、台車振動検知システム機能の向上、駆動システムの小型・軽量化を実現。N700系以来のフルモデルチェンジで、一層の安全性・安定性の向上と省エネルギー化を図る。
地震時のブレーキ距離は、ATCブレーキを改良することで、N700Aと比べて5%短縮される見込み。安全性のさらなる向上を目指す。
台車振動検知システムは、小牧研究施設の走行試験装置を活かして実用化したものだ。機能の向上によって重大事故を防止できる他、乗心地の常時監視により品質の維持・向上も図れる。
駆動システムは、「Sic(炭化ケイ素)素子」と独自に進化させてきた走行風冷却技術の融合により、大幅な小型・軽量化を実現するという。JR東海、東芝<6502>、三菱電機<6503>、日立製作所<6501>、富士電機<6504>が開発。これにより床下機器配置を最適化し、16両編成の基本設計を変更せず8両や12両など様々な編成構成に対応できる「標準車両」を実現する。
先頭車の形状はN700Aを受け継ぎながらも、三次元形状を考慮したシミュレーション技術の活用により進化させた「デュアルスプリームウィング形」を採用。走行抵抗とトンネル突入時の騒音の軽減を図ることができ、軽量化した新たな駆動システムも手伝って消費電力量がN700Aの7%削減する見込みだ。
セキュリティについては、車内の異常時に防犯カメラのリアルタイム画像を総合指令所などで確認し、乗務員の対応を支援するという。利便性と快適性の向上も図り、モバイル用コンセントを普通車の全座席に設置するとした。
18年3月に確認試験車を完成させ、量産車を20年に導入する方向で検討中。N700系以来およそ13年ぶりの新型車両導入に期待が高まる。(編集担当:久保田雄城)