フィットネス業界の総合メディア企業クラブビジネスジャパンの調査によれば、2015年度はフィットネスクラブ市場の規模の最高を更新したとのこと。売上高を見ると既存の大手クラブが前年比で数パーセントの伸び率にとどまったのに対し、この10年ほどの間に参入した新興クラブの伸び率が顕著であった。フィットネス会員数全体でいえば伸びてはいるものの、伸び率は数パーセントと微増。客単価の上昇が目立った。
新興クラブで市場をけん引した企業の代表的な存在、健康コーポレーションは、成果指向型のマンツーマンレッスンを特徴とした「ライザップ」を展開し、急成長を遂げている。ライザップはターゲットを中高年層の身体づくりに対して意識の高い層に絞った戦略で、高単価での経営モデルを確立している。
15年の売上高経営利益率の上位5社は1位コナミスポーツクラブ(3%前後で推移)、2位セントラルスポーツ(7%前後で推移)、3位ルネサンス(7%前後で推移)、4位コシダカホールディングス(20%前後で推移)、5位東祥(25%前後で推移)となっており、伸び率の目立つ4位のコシダカホールディングス(女性専用フィットネスクラブ「カーブス」を展開)と5位の東祥(高齢者をターゲットに地方中心に展開する「ホリデイスポーツクラブ」を展開)は、小規模事業所を多数展開して会員のアクセス向上を計るとともに、交流スペースを用意するなどして密度の高いコミュニケーションを実現している。ターゲットとしてはどちらも女性と高齢者に絞り込んでいる。
取り上げた例以外にも24時間営業セルフサービス型ジムやホットヨガスタジオを併設したフィットネスクラブ、ストレッチサービスを専門に提供するフィットネスクラブ等が次々に出てきておりプログラムやサービスが多様化している。このことからも、フィットネスクラブ業界のトレンドは、ターゲットの明確にしたサービス展開と小規模業態だと見てとれる。
健康志向が高まる中、会員それぞれのニーズにマッチしたサービスが提供できる点で小規模事業形態の優位性は大きい。フィットネスクラブ業界市場において小規模形態事業の存在感は今後さらに増すと予想される。(編集担当:久保田雄城)