「消費増税延期」。その延期が自動車業界に与えた功罪

2016年07月16日 19:13

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消費増税延期は自動車業界への影響も極めて大きい。短期的な眼で見るなら、消費税がアップした時点で廃止されるはずだった自動車取得税なども自動的に延期されることとなる

 参議院選挙が終了し、選挙前に来年4月に予定していた「10%への消費増税を“2年半も再延期”した」安倍晋三首相率いる現政権が大勝した。参院選対策として消費増税延期を決めた安倍首相の策略に、首相の言う“国民のみなさん”が「まんまと嵌まった」と言うべきなのか?

 日本の消費税導入は1989年4月からで、当初3%。1997年に5%に増税され、しばらく安定的な運用が続いた。が、2011年の東日本大震災後の2012年に、10%までの消費増税は民主党政権下で、自民党、公明党同意のうえで決定した。増税案では2014年に8%へ、2015年に10%に増税するはずだった。

 事実、これに基づいて政権交代を果たした安倍政権は2014年4月に8%に引き上げる。が、しかし、翌年4月の10%への増税は、「景気の落ち込みを懸念して」2014年11月に早くも延期すると発表した。その際に安倍首相は、「リーマンショック(2008年)クラスの金融危機や東日本大震災(2011年)並みの災害が起きない限り“再延期はない”」と明言していた。

 それなのに、今回の延期だ。完全に参院選対策だった。この10%への消費増税延期は、現状の景気低迷や国内個人消費の落ち込みなどを回避するというメリットは、確かにある。が、しかし、消費増税を見送ったことで政府が掲げた財政再建計画や社会保障費の確保が担保されなくなる。国債のマイナス金利などで“借金もできない”日本国家財政がますます破綻に向かって加速しているような危険な様相といえる。

 この消費増税延期は自動車業界への影響も極めて大きい。短期的な眼で見るなら、消費税がアップした時点で廃止されるはずだった自動車取得税なども自動的に延期されることとなる。今回の消費増税延期は、この自動車取得税廃止延期のほかにも自動車関連のさまざまな事柄に影響を与える。

 消費増税に伴って来年3月までの期限付きだった「エコカー減税」「グリーン化税制は、消費増税が無くなっても“廃止”される。これまでの規定エコカーに税制上のメリットが無くなるわけだ。これは、自動車(エコカー)購入予定者にとって大きなブレーキになることは間違いない。

 また、税率10%への消費増税にともなって来年4月から導入予定だった、環境性能に応じて0-3%を課税する「環境性能税」(燃費新税)は決定している。エコカー減税もなく、取得税も継続、なのに新しい環境税(燃費新税)の課税がはじまる。自動車ユーザーにとって、消費増税延期は“幸”なのか“不幸”なのか?

 こうしてみると「功罪」としたタイトルは誤りで、消費増税延期は自動車ユーザー&購入者には“罪”だけしか内包していないのでは?

 こんな消費税増税延期だが、自動車販売の現場では、もっと苛烈・過酷な状況も生まれつつあるようだ。消費増税延期に伴う、自動車販売現場が予定していた来年3月までの“駆け込み需要の消失”については項を改める。(編集担当:吉田恒)