韓国政府 元慰安婦支援財団設立 日本近く拠出

2016年07月28日 17:24

 菅義偉官房長官は28日の記者会見で、韓国政府が日韓合意に基づく元慰安婦への支援を図る財団「和解・癒し財団」を同日に設立したことを受け「日韓合意に従い、日韓両国政府の間で事業の詳細について調整中であり、財団への日本からの(10億円の)拠出時期は未定だが、日韓両政府が合意に責任を持って実施することが重要」と語った。菅官房長官は「韓国側と引き続き緊密に連携していきたい」とした。

 財団設立により、日本政府が財団に10億円の拠出を行うことになる。自民党内にはソウルにある日本大使館前の慰安婦少女像の撤去を拠出条件にすべきとの声もあるが、菅官房長官は、記者団の質問に、慰安婦像については「韓国政府が適切に対応されるだろう」と答えた。

 財団は元慰安婦らの名誉、尊厳の回復、心の傷を癒す事業に取り組む。元慰安婦への金銭支給が含まれている。

 昨年12月28日の日韓外相会談後の日韓外相共同記者会見で、岸田文雄外相は「慰安婦問題は当時の軍の関与の下に多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、かかる観点から日本政府は責任を痛感している」とした。

 そのうえで「日本政府予算で全ての元慰安婦の方々の心の傷を癒やす措置を講じる。具体的には韓国政府が元慰安婦の方々の支援を目的とした財団を設立し、日本政府の予算で資金を一括拠出し、日韓両政府が協力し全ての元慰安婦の方々の名誉と尊厳の回復、心の傷を癒やす事業を行う。また、これを実行することにより、この問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する」としていた。

 また、韓国の尹炳世(ユン・ビョンセ)韓国外交部長官も「措置が着実に実施されるとの前提で、今回の発表により、日本政府と共に、この問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する」と発表した。

 また、大使館前の慰安婦の少女像について尹長官は「韓国政府は日本政府が大使館前の少女像に対し公館の安寧・威厳の維持の観点から懸念していることを認知している」とし「、韓国政府としても可能な対応方向について関連団体との協議を行う等を通じて、適切に解決されるよう努力する」としていた。

 この内容は今月25日の両外相会談でも「日韓双方が合意を誠実に実施していくこと」を確認した。(編集担当:森高龍二)