【積水化学工業の2016年4~6月期決算】最終赤字スレスレ、中間期の業績見通しを下方修正しても、下半期の挽回に希望を託す

2016年08月01日 08:18

 7月28日、積水化学工業<4204>が2016年4~6月期(第1四半期)決算を発表した。

 売上高は5.6%減、営業利益は33.8%増、経常利益は38.8%減、四半期純利益は99.5%減という減収、2ケタ最終減益。最終利益は6500万円しかなく、2017年3月期の通期業績見通し590億円に対する進捗率は0.11%という悪さだった。

 減収の最大の要因は円高のために円ベースの海外売上が目減りしたこと。それでも営業利益は、高機能プラスチックスカンパニー、車輌・輸送分野の採算性が良い自動車向け高機能部材などで売上が伸び、環境・ライフラインカンパニーで構造改革の効果があらわれ、大幅な営業増益になった。

 しかし、為替差損として34億円(前年同期は為替差益で5億円)、保有するデクセリアルズ株の下落で投資有価証券評価損として44億円(前年同期はゼロ)を計上し、加えて投資有価証券売却益が前年同期の103億円から22億円に減少したため、最終利益は赤字スレスレになった。

 セグメント(カンパニー)別では、住宅カンパニーは売上高4.9%減、営業損益は17億円の赤字。熊本地震の影響もあり新築住宅事業、住環境事業とも減収減益だったが、「セキスイハイム」など新築住宅事業の受注高は日銀のゼロ金利政策による住宅ローン金利低下の恩恵もあって前年同期を上回っている。住環境事業は外装系メニューの販売は堅調でも太陽光発電システムの販売が低調だった。

 環境・ライフラインカンパニーは売上高3.2%増、営業損益は4億円の赤字。製品別利益管理を強化した国内事業の収益性改善、アメリカの管路更生工事会社を譲渡した海外事業の構造改革などが功を奏し、全体で増収になり、営業損益も改善した。プラスチックシート事業で航空機分野の需要が回復したことも寄与している。

 高機能プラスチックスカンパニーは、売上高3.8%減、営業利益31.9%増。スマホ、タブレットなどモバイル端末の生産調整の影響で両面テープの販売が減少したエレクトロニクス分野が苦戦したものの、車輌・輸送分野、住インフラ材分野、ライフサイエンス分野など他の戦略事業分野がカバーし、営業利益は大幅増益になった。

 2017年3月期の通期業績見通しは、売上高0.1%増、営業利益4.7%増、経常利益8.4%増、当期純利益4.1%増の増収増益で、32円の年間配当とともに今回は修正していない。しかし4~9月期(第2四半期)決算の累計業績見通しについては、売上高を140億円、経常利益を25億円、四半期純利益を20億円、それぞれ下方修正している。その理由は第1四半期に為替差損34億円、投資有価証券評価損44億円を計上したため。7~9月期の想定為替レートはドル円104円、ユーロ円114円で、期初予想からドル円は6円、ユーロ円は11円の円高を見込んでいる。

 それでも下半期は住宅カンパニー、新築住宅事業の好調な受注が寄与する上に、高機能プラスチックスカンパニー、車輌・輸送分野の自動車向け樹脂製品の採算が改善して円高の影響を吸収し、売上も損益も挽回できると希望を託している。(編集担当:寺尾淳)