【オムロンの2016年4~6月期決算】減収減益は想定通りと強気。「ウエアラブル」「自動運転」「IoT」など成長市場で巻き返す。

2016年07月31日 10:01

 7月28日、オムロン<6645>が2016年4~6月期(第1四半期)決算を発表した。

 売上高は10.1%減、営業利益は40.1%減、経常利益は28.3%減、四半期純利益は37.4%減という2ケタの減収減益。最終利益の2017年3月期の通期業績見通しに対する進捗率は16.6%しかなかった。

 悪かったのが太陽光発電用パワーコンディショナー(電力変換器)。主力の制御機器の海外販売は落ち込んでいないが、円高の影響で円ベースの売上も利益も縮小した。車載事業、ヘルスケア事業は為替の影響を除けば実質増収。国内市場では設備投資がふるわず、工場向けのセンサー、制御機器が売上を落とした。コスト面では将来の成長のために研究開発費を増加させ、それが利益を圧迫した。

 2017年3月期の通期業績見通しは、売上高1.6%減、営業利益1.1%増、経常利益1.8%減、当期純利益0.4%増の減収、最終利益微増で、68円の年間配当とともに修正していない。第1四半期の業績は不振だったが、それでも「減収減益は想定通り」と通期業績見通しの下方修正はしなかった。ドル円110円、ユーロ円125円の想定為替レートも据え置いている。

 制御機器事業では事業構造の見直しの一環として6月、アメリカで油田掘削機用の制御システムを手がけるオムロンオイルフィールド&マリーン(テキサス州)を、資源開発大手のシュルンベルジェに売却した。

 ヘルスケア事業では6月、傘下の医療機器メーカー、オムロンヘルスケアのフクダ電子との業務提携を発表した。オムロンのセンサー技術などを活用して血圧や心拍を検査する在宅医療向けのウエアラブル機器などを共同開発し、販路も相互に活用する。フクダ電子は手術中の脈拍などを監視する生体情報モニターを手がけるオムロンヘルスケアの子会社オムロンコーリンを買収する。

 高性能の人感センサーや、画像認識技術と人工知能(AI)を組み合わせ、ドライバーが運転に集中しているかどうかを判定して「自動運転」をサポートできるセンサーを開発するなど、注目の最新技術を成長市場に投入できる技術開発力は持っている。今期は成長市場の「IoT」向けのセンサーを発売するなどして巻き返しを図っていく考えだ。