【今週の展望】上下に動かないボラティリティの「夏休み」

2016年08月07日 20:35

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為替の円高傾向にあまり変化がなくても、日銀のETF買いと一目均衡表の「雲」が下値を支えてくれる存在。だが、上値追いするエネルギーは夏枯れ。

 今週、8月第2週(8~12日)は11日の木曜日が今年から「山の日」の祝日になったため休場し、4日間の取引。前々週に梅雨明けしたと思ったら7日は「立秋」で、猛暑でも今週はすでに暦の上では秋。オリンピックの日本選手の活躍に一喜一憂しているうちに真夏の日々は過ぎてゆく。12日はマイナーSQ(オプションSQ)なので、9日、10日は下げやすいSQ週の火曜日、水曜日の「鬼門」。

 世界の主要株式市場の休場日は、9日にシンガポール、南アフリカ、12日にタイが休場する。

 国内の経済指標、イベントは、8日の景気ウォッチャー調査、日銀会合の「主な意見」、10日の東京都心部オフィス空室率が重要。

 8日には6月の国際収支、6月の特定サービス産業動態統計、7月の企業倒産件数、景気ウォッチャー調査が発表される。8日に7月28、29日開催の日銀金融政策決定会合の「主な意見」が公表される。ETF買入枠をほぼ倍増するなど部分的追加緩和を行った回。9日には7月のマネーストック、工作機械受注、10日には6月の機械受注、7月の国内企業物価指数、東京都心部オフィス空室率、6月の第三次産業活動指数が、それぞれ発表される。10日に気象庁がエルニーニョ監視速報を発表する。12日はオプション取引、指数ミニ先物の清算値を算出するマイナーSQ(オプションSQ)の日。

 4~6月期、1~6月期の決算発表は、15日が東証の推奨期限なので今週は最終盤。主要銘柄のほとんどは10日までに終わる。

 8日はマルハニチロ、西松建設、熊谷組、五洋建設、日清食品HD、アルペン、カネカ、日医工、東和薬品、沢井製薬、東洋インキSCHD、ラウンドワン、ジャストシステム、オリコン、星光PMC、住友ゴム工業、日本製鋼所、三菱マテリアル、LIXILG、ジャパンマテリアル、日機装、ブラザー工業、船井電機、図研、浜松ホトニクス、第一興商、SCREENHD、ノーリツ鋼機、ケーズHD、名古屋鉄道、三井倉庫HD、ヤマダ電機など。

 9日はショーボンドHD、清水建設、鹿島、鉄建建設、前田建設工業、大和ハウス工業、クックパッド、日本マクドナルドHD、大王製紙、ソースネクスト、大塚HD、ペプチドリーム、関西ペイント、DIC、トレンドマイクロ、資生堂、ブリヂストン、藤倉ゴム工業、太平洋セメント、タクマ、リクルートHD、TOWA、千代田化工建設、ダイキン工業、ジャパンディスプレイ、日本信号、横河電機、イマジカ・ロボットHD、東京TYFG、ゼンショーHD、タカラトミー、第一生命保険、東京海上HD、T&DHD、東京急行電鉄、日本通信、共立メンテナンス、KNT-CTHD、富士ソフトなど。

 10日は長谷工、日揮、スタジオアリス、DeNA、マツモトキヨシHD、すかいらーく、そーせいG、ラクオリア創薬、昭和シェル石油、横浜ゴム、大平洋金属、住友金属鉱山、井関農機、東洋エンジニアリング、トーヨーカネツ、THK、ルネサスエレクトロニクス、CYBERDYNE、凸版印刷、河合楽器製作所、ニプロ、アイフル、損保ジャパン日本興亜HD、ソニーFHD、近鉄GHD、ビジョン、日本空港ビルデング、ニチイ学館など。

 12日はユーグレナ、アミューズ、電通、大幸薬品、東燃ゼネラル石油、日本郵政、オーイズミ、東芝、マブチモーター、かんぽ生命保険、ゆうちょ銀行、東京計器、シチズンHD、ラオックス、青山商事、MS&ADインシュアランスGHD、学研HD、東映、アサツーDKなど。

 新規IPOは夏休み中。次回は8月31日。

 海外の経済指標、イベントは、8日の中国の貿易収支、12日のアメリカの小売売上高が重要。

 8日には中国の7月の貿易収支、アメリカの7月の労働市場情勢指数(LMCI)、9日には中国の7月の消費者物価指数(CPI)、生産者物価指数(PPI)、アメリカの6月の卸売売上高、卸売在庫、7月の労働生産性指数速報値、10日にはアメリカの7月の財政収支、11日にはアメリカの7月の輸出入物価指数、12日には中国の7月の鉱工業生産、小売売上高、都市部固定資産投資、ドイツの4~6月期のGDP、ユーロ圏の4~6月期のGDP速報値、アメリカの7月の小売売上高、生産者物価指数(PPI)、6月の企業在庫、8月のミシガン大学消費者信頼感指数が、それぞれ発表される。9日にインドが、11日にニュージーランド、韓国、メキシコが政策金利を発表する。

 アメリカの主要企業の決算発表は、8日にタイソンフーズ、アラガン、バークシャー・ハサウェイ、ニューズ・コーポレーション、9日にウォルト・ディズニー、コーチ、10日にマイケル・コースHD、ラルフローレン、11日にコールズ、メーシーズ、エヌビディア、ノードストロム、アドバンス・オート・パーツが発表する予定。

 円高にさいなまれた前週末5日の終値は16254.45円だった。そのテクニカル・ポジションを確認すると、移動平均は25日線だけ下にあり、5日線、75日線、200日線は上にある。16199円の25日線は55円下、16323円の5日線は69円上、16371円の75日線は117円上、17244円の200日線は990円上。週間騰落314円安で前々週末よりポジションが下がったので、200日線は孤独な調べをつむぎながら太陽系の果てに遠ざかった。

 日足一目均衡表の「雲」は5日時点は15842~16238円。5日終値は雲の上限の16円上で、この日は上限がザラ場の下値支持線になっていた。前週は2日、3日は雲の中で健気に泳いだが、底がその下限を抜けることはなかった。今週の雲の上限は引き続き16238円で一定。下限は8日、9日は15842円で、10日は15815円、12日は15622円と下がっていく。厚みが増したので、16000円を割り込んでも下値を下回る可能性は低くなった。

 なお、次回の「雲のねじれ」は8月26日と27日の間。毎年恒例の「ジャクソンホール」経済フォーラム(25~27日)の最中で、26日にイエレン議長が講演を行うまさにその時だ。オリンピックの宴が終わった後、夏の終わりの「避暑地の出来事」で、東京市場にも何かが起こるのか?

 ボリンジャーバンドでは、5日終値は25日移動平均線の55円上なので、25日線-1σの15718円と+1σの16680円の間の、ニュートラル・ゾーンのセンターに位置する。上にも下にも動きやすいポジションではある。

 オシレーター系指標は5日時点で「売られすぎ」シグナルが2個点灯している。-73.4で売られすぎ基準の-50を大きく下回ったRCI(順位相関指数)と、27.0で売られすぎ基準の30を下回ったストキャスティクス(9日・Fast/%D)の2つ。しかし25日移動平均乖離率は+0.3%でニュートラル。5日のような「銭」単位でマイナスの日もあったためサイコロジカルラインは5勝7敗で41.7%と低いが、騰落レシオは96.9、RSI(相対力指数)は44.4、ボリュームレシオは48.4とまちまちだった。売られすぎシグナルは点灯しても、ほぼニュートラルとみていい。