日産自動車は8月10日、栃木工場でインフィニティブランドの新型スポーツクーペ「Q60」(日本名:日産スカイラインクーペ)の本格生産に入ったと発表した。インフィニティによると「Q60」は、走行性能を追求した設計、大胆なスタイリング、爽快なドライビングを実現したスポーツモデルと位置づけている。
栃木工場は、インフィニティブランドが誕生した1989年から同ブランドの車両の生産を行なってきた工場だ。新型「Q60」の生産要件を満たすために、生産ラインの改良を実施し革新的な生産プロセスを導入したうえでの生産開始である。
生産ラインの改良は、プレスおよび組立工程を中心に行なわれた模様だ。業界最高レベルの生産技術によって「Q60」のデザイン上に特徴でもある深いボディプレス加工技術を採用。「Q60」のユニークなトランクリッドを高い品質で実現するために、生産、デザイン、開発の各チームが緊密に連携した。新型に採用するトランクリッドは、スチール製のフレームと樹脂製の外板が組み合わされた世界初の製品で、この樹脂製トランクリッド用の新しい治具の設置なども新たに実施した。
また、品質管理向上のため、検査工程に新しい照明システム、組立工程にカメラ・ビデオシステムを導入している。
今回のインフィニティ車生産のための栃木工場における大きな改良のひとつは、新たに専用の塗装ブースを設置したこと。新しい塗装ブースは「Q60」の新色であるダイナミック・サンドストーン・レッドの塗装のために導入。インフィニティの塗装のエキスパートが開発した、機械と人間の手による塗装を組み合わせた新しい塗装手順で行なわれる。
新型「Q60」生産のために、栃木工場従業員4500名から高度な技能を持った熟練職人216名の「匠」が選出された。この匠たちは、高い技能を備えているだけでなく、プレミアムカーの生産に関する特別訓練を受け、インフィニティとそのコアバリューについて深い理解を持った職人だという。彼らは、新しい技法やスキル習得のために定期的な集中トレーニングを受けるとも。
さらに、インフィニティの生産のために選ばれた匠のなかの6名だけが、プレミアムモデルの生産に精通した「マイスター」に選出される。マイスターは、栃木工場のインフィニティ車生産のあらゆる面を監督する責任者となる。
日産は3月から新型「Q60」に搭載する新開発の「VR30」型と呼ぶ3リッターV型6気筒ツインターボエンジンの生産を日産のいわき工場で開始していた。このエンジンには、2種類のチューニングが存在。標準型が、最高出力が304ps。高出力版では、最高出力405psを発生する。インフィニティブランドのV6エンジンとして歴代で最もパワフルなエンジンとなる。このエンジンは、インフィニティ車だけに搭載される。(編集担当:吉田恒)