【今週の展望】為替次第でさらに上値追いできる環境が整った

2016年08月14日 20:34

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私生活で「戦士の休息」を終えた投資家が、マーケットに三々五々、戻ってくる。相変わらずの円高でも、環境は悪くない。気分を出してもう一度。

 今週、8月第3週(15~19日)は5日間の取引。上昇しやすいSQ後週だが、終戦記念日の15日は月遅れのお盆(旧盆)なので週初めは夏休みをとる企業が多い。

 世界の主要株式市場の休場日は、15日に韓国が「光復節」、インドが「独立記念日」、イタリア、ギリシャなどが「聖母被昇天の日」の祝日で休場する。17日にインドネシアが「独立記念日」の祝日で休場する。

 国内の経済指標、イベントは数こそ少ないが、15日のGDP、17日の訪日外国人客数、18日の貿易収支が重要。

 15日には4~6月期のGDP、6月の鉱工業生産指数確報値、16日には7月の首都圏・近畿圏新規マンション発売、17日には7月の訪日外国人客数、日本製半導体製造装置BBレシオ、18日には7月の貿易収支、19日には6月の全産業活動指数が、それぞれ発表される。

 主要銘柄の決算発表は15日が4~6月期の発表の推奨期限で、少なくなる。15日に日本管理センター、ボルテージ、カヤック、レアジョブ、光通信、17日にドンキホーテHDが決算を発表する。

 新規IPOは夏休み。次回は8月31日のデファクトスタンダード<3545>。なお、16日に東証1部、札幌証券取引所に上場するサツドラHD<3544>はサッポロドラッグストアーの持株会社化で、新規IPOではない。9月になれば新規上場ラッシュが待っている。

 海外の経済指標、イベントは、16日にアメリカでCPI、住宅着工件数、鉱工業生産指数と、重要なものが発表される。

 15日にはタイの4~6月期のGDP、アメリカの8月のNY連銀製造業景気指数、NAHB住宅市場指数、6月の対米証券投資、16日にはユーロ圏の6月の貿易収支、ドイツの8月のZEW景況感指数、アメリカの7月の消費者物価指数(CPI)、住宅着工・建設許可件数、鉱工業生産指数・設備稼働率、17日には英国の7月の失業率、18日にはオーストラリアの7月の雇用統計、アメリカの8月のフィラデルフィア連銀製造業景況感指数、7月のCB景気先行総合指数が、それぞれ発表される。

 17日に7月26、27日に開催されたFOMCの議事録が公表される。イエレン議長の記者会見がなかった回なので、9月利上げの可能性を占う上で重要。18日には7月15日に開催されたECB理事会の議事要旨が発表される。19日にインドネシアが政策金利を発表する。

 アメリカの主要企業の決算発表はIT企業と小売業が混在する。16日にアドバンス・オート・パーツ、アーバンアウトフィッターズ、ホーム・デポ、TJX、17日にアナログ・デバイセズ、シスコシステムズ、Lブランズ、ネットアップ、アジレント・テクノロジー、ターゲット、HP、18日にホーメル・フーズ、ウォルマート・ストアーズ、アプライド・マテリアルズ、ロス・ストアーズ、ギャップ、19日にディア、フット・ロッカー、エスティローダーが発表する予定。

 前週末12日の日経平均終値は16919.92円だった。そのテクニカル・ポジションを確認すると、移動平均は200日線だけ上に、他の5日線、25日線、75日線は全て下にある。200日線は17217円で298円上でかなり近づいた。太陽系で言えば金星や火星あたりの距離か。一時は光年のかなた、別の恒星系や別の島宇宙にあったのがウソのよう。5日線は16665円で254円下、25日線は16382円で537円下、75日線は16367円で552円下。

 日足一目均衡表の「雲」は、12日時点で15815~16238円だった。雲の上限は12日終値から681円も下に離れている。今週の雲の上限は15日の16238円から17~19日は16218円へ少し下がるだけだが、下限は15日が15654円、17日が15759円、18日が15811円、19日が15800円と上下に振れる。次回の「雲のねじれ」は来週26日と27日の間。恒例の「ジャクソンホール」経済フォーラム(25~27日)の最中で、26日にイエレン議長が講演を行ったタイミングになる。

 ボリンジャーバンドでは、12日終値は25日線+1σの16823円の96円上にある。25日-1σの15940円と+1σの16823円の間のニュートラル・ゾーンから上に外れているので、一応は「上値限定」のサインになる。

 しかし、オシレーター系指標は「買われすぎ」シグナルが1個しか点灯していない。95.5で買われすぎ基準の70をオーバーしたストキャスティクス(9日・Fast/%D)がそれである。7月11~19日の6連騰時は日経平均が1600円以上も上昇して、買われすぎシグナルがまるでデコトラのように御意見無用に輝いたが、それから1ヵ月経過する間にオシレーター系指標がこなれて、前週は週間騰落が665円も上昇してもこの程度ですんでいる。これがテクニカル指標に対する「時の力」の作用というものなのだろう。

 ストキャスティクス以外のオシレーター系指標は、25日移動平均乖離率が+3.2%、サイコロジカルラインが7勝5敗で58.3%、騰落レシオが107.0、RSI(相対力指数)が56.3、RCI(順位相関指数)が+39.9、ボリュームレシオが54.4となっている。

 8月5日時点の需給データは、信用買い残は7月29日時点から869億円増の2兆2419億円で、2週ぶりの増加。信用倍率(貸借倍率)は3.34倍から3.70倍へ3週続けての増加。信用評価損益率は-14.72から-15.59へ2週続けての悪化。裁定買い残は2031億円減の6452 億円で4週ぶりの減少。7月8日の5772億円に次ぐ、近年にない低水準まで落ち込んでいる。

 東証が発表した8月1~5日の投資主体別株式売買動向によると、外国人は2週ぶりの売り越しで売越額は4586億円、個人は2週ぶりの買い越しで買越額は2238億円、信託銀行は3週連続の買い越しで買越額は1725億円。「需給三国志」は外国人の売りと個人、信託銀行の買いでほぼバランスしていた。

 前週のカラ売り比率は、ずっと40%台が続いた前々週までとは様変わりし、8日は39.7%、9日は39.0%、10日は40.0%、12日は38.7%で、40%台はマイナスだった10日だけだった。SQ週にもかかわらず9日火曜日、10日水曜日に先物主導でボロボロ売られる地獄絵図が起きなかったのは、日銀のETF買いの抑止力、裁定買い残のまれにみる低水準とともに、カラ売り比率40%台の異常事態がおさまったおかげかもしれない。