日経平均VI(ボラティリティー・インデックス)は5日終値は21.51だったが、前週はさらに20未満の水準まで下がり、12日終値では19.01まで下落した。恐怖指数は今年最低の水準まで下落している。
前週は665円上昇したとはいえ、今週はテクニカル的には上昇の余地を残している。ボリンジャーバンドは上値限定のゾーンだが、オシレーター系指標の「売られすぎ」シグナルは1個しか点灯していない。さらに裁定買い残がここ数年間で最低の水準で、恐怖指数は今年最低の水準まで下がった。カラ売り比率も改善している。また、前週はドル円が100~102円台の円高に振れていたが、707億円規模の日銀のETF買いをめぐる思惑が日経平均の下落への「抑止力」として働いた。
以上の要素を総合すると、SQを通過し、週の後半になるにつれて夏休みを終えた投資家がマーケットに三々五々戻ってくる今週は、上値追いのチャンスと言える。
では、上値はどこまで追えるのか? 厄介な「まぼろし」になるのを回避できた8月SQ値の16926円を超えて17000円の節目を突破するのは、まず間違いないところ。その上のターゲットとしては200日線の17217円になる。200日線は一貫して低下が続き、今週は17200円を下回る見通し。もしザラ場にタッチできれば昨年12月18日以来8ヵ月ぶりになる。12日時点ではあと298円で、今週中に到達できない距離ではない。
12日の海外市場は、NYダウは利益確定売りで37ドル安だったが、NASDAQは史上最高値を連日更新。しかし為替レートがドル円101円台前半、ユーロ円113円近辺で、相変わらず円高。CME先物清算値は16810円、大阪の先物夜間取引終値は16820円だった。
今週は決算発表シーズンが終わり、国内外にとりたてて大きなイベントはなく、海外では重要な経済指標があるものの国内は閑散としているので、条件としてはやはり為替レート次第。ドル円が円安に振れて102円台からさらに103円台もうかがえるようであれば、「200日線タッチ」は現実味を帯びるだろう。
逆に言えば、下値探りもまた為替レート次第。前週同様にドル円100円台もあると考えておく必要がありそうだ。しかしそれでも前週の日経平均の安値が8日の16455円だったことを考えると、12日時点で16382円だった25日移動平均が今週の下値のメドになると思われる。25日線のサポート力は大きい。
ということで、今週の日経平均終値の予想変動レンジは16400~17200円とみる。
「先制使用」はされないものの、毎日、前場がマイナスになると「後場の日銀のETF買い707億円の投入」が意識されるため、売り方は思い切った売りポジションが持てない。それが「707億円」の「抑止力」である。日銀が〃保有〃する「707億円の傘」の下にあることで、東京市場は先物主導でボロボロ売り込まれる攻撃を受けにくく、その〃安全〃が保障されている。はたして将来、追加緩和の名のもとにその威力が際限なくエスカレートしている日銀のETF買いへの依存を脱し、それが〃廃絶〃される日は、やって来るのだろうか?(編集担当:寺尾淳)