【今週の展望】週末の「避暑地の出来事」に期待するだけの週

2016年08月21日 20:37

0205_025

ワイオミング州ジャクソンホール。世界のマーケット関係者の間でだけ、異常なほど知られている山岳リゾート地。そこで円高は治るのか? 悪化するのか?

 今週、8月第4週(22~26日)は5日間の取引。日本選手の健闘、メダルラッシュに沸いたリオ五輪は21日(日本時間で22日午前)が閉会式。次回開催都市、東京都の小池百合子知事が五輪旗を受け取る。オリンピックも高校野球も終わるので、22日から日本経済は本格始動か? 

 25~27日は毎年恒例の「ジャクソンホール」シンポジウム。金融、証券関係者の間では〃超有名〃だが、たいていの日本人は名前も知らないアメリカ・ワイオミング州の山岳リゾート地。バーナンキ議長の時代には、ここでの「避暑地の出来事」が世界のマーケットをゆるがしたことがあったが、26日のイエレンFRB議長の講演はどんな影響を及ぼすのだろう? 黒田日銀総裁もこのシンポジウムに参加してスピーチする予定。

 世界の主要株式市場に休場日はない。

 国内の経済指標、イベントは少ない。

 22日には7月のコンビニ売上高、全国スーパー売上高、24日には6月の景気動向指数改定値、25日には7月の企業向けサービス価格指数、26日には消費者物価指数(CPI/7月全国、8月東京都区部)が、それぞれ発表される。日銀も26日にインフレ指標として独自のCPIを算出・公表する。

 23日に黒田日銀総裁が「フィンテック・フォーラム」であいさつする。24日に気象庁から9~11月の3ヵ月予報が発表される。早く涼しくなったほうが秋冬物が売れて景気には好影響が出る。26日にGPIFが2016年第1四半期の運用実績を発表する。

 主要銘柄の決算発表は真夏の端境期。25日はアインHD、26日はエイチ・アイ・エスが発表する。新規IPOも夏休み中。次回は31日のデファクトスタンダード<3545>、その次は9月2日のベイカレント・コンサルティング<6532>で、来週は2件ある。

 海外の経済指標、イベントは、23日に新築、24日に中古が発表されるアメリカの住宅販売指標に注目。高水準が続けば9月利上げが現実味を帯びる。26日のアメリカのGDPについても同様。

 22日にはアメリカの7月のシカゴ連銀全米活動指数、23日にはフランス、ドイツ、ユーロ圏、アメリカの8月の購買担当者景気指数(PMI)、アメリカの8月のリッチモンド連銀製造業指数、7月の新築住宅販売件数、7月の北米半導体製造装置BBレシオ、24日にはアメリカの6月のFHFA住宅価格指数、7月の中古住宅販売件数、25日にはドイツの8月のIFO景況感指数、アメリカの7月の耐久財受注、アメリカの8月のカンザスシティ連銀製造業活動指数、26日には英国の4~6月期GDP改定値、アメリカの4~6月期GDP改定値、8月のミシガン大学消費者態度指数確報値が、それぞれ発表される。

 23日にトルコが政策金利を発表する。25~27日にアメリカ・ワイオミング州ジャクソンホールでカンザスシティ連銀主催の金融経済シンポジウムが開催される。26日にイエレンFRB議長が講演を行う。27~28日にケニアの首都ナイロビで「アフリカ開発会議」の首脳会議が開催される。

 アメリカの主要企業の決算発表は、23日にベストバイ、インチュイト、JMスマッカー、24日にHP、PVHコープ、25日にティファニー、パターソン・カンパニーズ、ダラー・ツリー、オートデスク、メドトロニック、ダラー・ゼネラル、26日にブラウン・フォーマンが発表する予定。

 前週の週間騰落は374円安で、週末19日の日経平均終値は16545.82円だった。そのテクニカル・ポジションを確認すると、移動平均は25日線、5日線、200日線が上に、75日線が下にある。25日線は16574円で29円上、5日線は16648円で103円上、200日線は17168円で623円上で太陽系で言えば木星や土星あたりの位置。75日線は16326円で219円下。25日線のわずか29円下というポジションなので、テクニカル指標はトレンド系もオシレーター系も「ニュートラル」なものばかりになっている。

 日足一目均衡表の「雲」は、19日時点では15811~16218円だった。19日終値は雲の上限から327円も上に離れている。今週は雲の上限の位置が下がり、22日から27日までずっと16057円で一定。一方、雲の下限は週末にかけて切り上がっていき、22日は15805円、23~25日は15855円、26日は15962円になる。ちなみに27日の雲は16029~16057円で幅が28円と非常に薄くなり、週末に「雲のねじれ」を起こして来週初めの29日になると16057~16174円と雲全体が上に移動する。奇しくも25~27日は「ジャクソンホール」のシンポジウムで、26日(日本時間27日未明)にイエレンFRB議長の講演がある。「変化日」になるのだろうか?

 ボリンジャーバンドは25日線-1σの16326円と+1σの16773円の中間で、ニュートラルど真ん中。ただしバンドの間隔が詰まっていて、-2σは16177円で「雲」の中にあり、+2σは16972円で17000円よりも低い。これは今週、上値も下値も限定されることを意味する。17000円突破は前週よりも難度が増しているが、下落しても「雲」のサポートを受けやすくなっている。

 オシレーター系指標は「買われすぎ」も「売られすぎ」も、シグナルは一つも点灯していない。それもまた、状況はニュートラルだということ。25日移動平均乖離率は-0.2%で、サイコロジカルラインは6勝6敗の五分の星で50%。ストキャスティクス(9日・Fast/%D)とボリュームレシオは52.7で、ニュートラルな位置で数値が同じになった。RSI(相対力指数)は49.5、RCI(順位相関指数)は+36.4、騰落レシオは87.0だった。