都道府県労働局が製造業、建設業、陸上貨物運送業などの中小企業を中心にヒアリングを行った結果、「手形払いが多く、経営体力がないと厳しい」(製造業)「元請企業から、経営状態や役員報酬、賃金等の資料を要求され、それを基に、さらなるコスト削減を求められており、賃上げどころではない」(製造業)など取引の力関係そのままに、元請けからの厳しい要求の実態が浮き彫りになった。政府には「下請法の強化を求める」要望がでている。
これは中小・小規模事業者が賃上げしやすい環境づくりを目指すため、中小企業の取引実態を把握し、取引条件の改善に必要な検討を行うための関係府省等連絡会議(議長・野上内閣官房副長官)の19日の会合で厚生労働省が示した。
それによると、下請け企業からは「元請企業は下請法等の法令に抵触しないようコスト削減を強く求め、これに応じた見積書を提出させている。元請企業の要望に応じなければ、仕事がもらえない」(製造業)との声や「発注者に対して、賃金を含む諸経費アップのため単価引上げを申し込むと即座に契約を打ち切られる」(金属加工業)など厳しい実態が示されていた。
また「トラック業界は規制緩和により過当競争が続いている。継続的な受注量の確保のため、採算割れする取引を受注することもある」(運輸業)「燃料代が上がった時は単価を上げず、下がった時だけ単価を下げられる」(運輸業)といった声も出ていた。これらの対策に「値下げによる過当競争の防止ができるような施策を検討してほしい」との要望があった。
建設業では「ゼネコンに対し、最低賃金引上げによる労務費の増加を訴えても相手にされない」(建設業)などの声があり、政府には「賃金引上げに対して使える助成金等があれば、積極的に周知してほしい」との要望があったとしている。(編集担当:森高龍二)