【今週の振り返り】フェアウェイを刻んで刻んで564円上昇した週

2016年09月03日 20:12

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本当に上手なゴルファーは、飛ばさず冒険せず、パーを連ねてパーセーブ。それはつまり「平常心を保つ」ということ。東京市場も、やればできる?

 8月29日の日経平均は3営業日ぶりの大幅反発。26日、全世界注目のジャクソンホールでのイエレンFRB議長の講演があった。時期の明言は避けたものの「追加利上げの根拠がここ数カ月で強まっている」という発言が飛び出した。フィッシャー副議長もテレビのインタビューで、データ次第としながらも9月利上げ、年2回の利上げの可能性を否定しなかった。

 26日のNYダウは早期利上げ警戒感で53ドル安、3日続落。NASDAQは反発。ドルが買われ、26日のNY時間の為替はドル円が一時102円に迫って101円台後半、ユーロ円は114円近辺まで円安進行。CME先物清算値も大阪先物夜間取引終値も16590円。さらにジャクソンホールで黒田日銀総裁がマイナス金利も含めて「追加緩和の余地はまだある」と発言したこともあり、29日朝方の為替レートはドル円が102円近辺、ユーロ円が114円台前半まで円安が進行。

 日経平均始値は270円高の16631円。高値は1時15分の16764円。安値は9時2分の16616円。終値は376円高の16737円。16600円台に乗せて大幅高で始まるが、26日のザラ場より為替が1円50銭ほど円安に振れても始値は控えめ。序盤で16700円を突破するが、10時台になっても16700円台の前半でくすぶる。為替のドル円は102円で円買いをする勢力があるらしく102円にタッチしたり離れたり。それでも自動車など輸出関連セクターは大幅上昇。11時台も状況は変わらず前引けは366円高の16727円。為替のドル円が102円台に定着した後場はやや水準を上げて16700円台後半の時間帯もあるものの、薄商いでさらなる上値追いには火がつかない。2月期決算銘柄も中間期の配当権利落ち。ザラ場に円安がジリジリ進んでも2時台も16700円台半ばの小動きが続き、そのままフィニッシュ。週初のティーショットで飛ばして一気に17000円にワンオンではなく、フェアウェイを確実に刻んでのスコアメイク。

 日経平均終値は376.78円高の16737.49円、TOPIX終値は+25.34の1313.24。売買高は16億株、売買代金は1兆8027億円。値上がり銘柄数は1540、値下がり銘柄数は363。プラスは30業種で、その上位は海運、保険、輸送用機器、ガラス・土石、証券、その他金融など。マイナスは小売、水産・農林、食料品の3業種。上海総合指数は微減だった。

 30日の日経平均は反落。ダラス連銀製造業景気指数は20ヵ月連続のマイナスで、個人消費支出はプラスで市場予測と一致と経済指標はまちまち。それでも週明けのNYダウは利上げでメリットが出る金融セクター中心に上昇し107ドル高。朝方の為替レートはドル円が101円台後半、ユーロ円が114円近辺で若干円高。CME先物清算値は16700円。大阪夜間取引終値も16700円。

 日経平均始値は46円安の16690円。高値は10時30分の16752円。安値は9時6分の16677円。終値は12円安の16725円。取引時間前に政府の7月のマクロ経済指標が発表される。家計調査の二人以上世帯の実質消費支出は-0.5%で、市場予測の-1.0%より良い。有効求人倍率は1.37倍で横ばい。4ヵ月連続で全都道府県が1倍超え。新規求人倍率は2.01倍。完全失業率は6月から0.1ポイント低下して3.0%。商業動態統計の小売業販売額は前年同月比-0.2%で、百貨店とスーパーの合計は+0.9%、コンビニは+3.8%。専門店が悪かった。日経平均は序盤は16700円を割って始まるが9時台のうちに回復し、10時台、ドル円が102円台に乗せるとプラスに浮上する。しかし前日終値付近から上にも下にも動かない膠着状態が続き、前引けは5.83円高の16743円で日銀のETF買いはなし。後場はマイナスで再開して0時台にプラスになる時間帯もあったが、大勢は小幅マイナス圏で16700円台はキープする。TOPIXのほうがプラスの時間帯が長い。ドル円は102円台前半をずっと維持。2時台は徐々に値を切り下げるが最後まで16700円台を保った。日中値幅は74円。アップルが来週9月7日に新製品発表会を行うという報道でアップル関連銘柄が上がったのがご愛嬌だった。

 日経平均終値は12.13円安の16725.36円、TOPIX終値は-0.43の1312.81。売買高は15億株、売買代金は1兆6783億円と薄商い継続。値上がり銘柄数は778、値下がり銘柄数は1029。プラスは15業種で、その上位は非鉄金属、銀行、石油・石炭、海運、鉄鋼、輸送用機器など。証券1業種がプラスマイナスゼロ。マイナスは17業種で、その下位は陸運、情報・通信、その他製品、空運、建設、繊維など。上海総合指数は0.15%高だった。

 31日の日経平均は大幅反発。アメリカの経済指標はまちまちだったがEUがアイルランド政府にアップルへの追徴課税130億ユーロを命じ、フィッシャーFRB副議長が再び利上げを示唆してNYダウは48ドル安で2営業日ぶりの反落。朝方の為替レートはドル円が103円近辺、ユーロ円が114円台後半で円安がさらに進行。CME先物清算値は16860円。大阪夜間取引終値は16850円。

 日経平均始値は132円高の16857円。高値は2時38分の16917円。安値は10時24分の16836円。終値は162円高の16887円。取引時間前に発表された7月の鉱工業生産指数速報値は前月比横ばいで市場予測を下回る。日経平均はCMEや大阪の先物にさや寄せして始まるが、序盤は16800円台後半で小動きして16900円には届かない。逆に10時台には一時16850円を下回る。為替のドル円は103円付近でほとんど動かない。前引けは131円高の16857円。後場は高く再開し1時を回ると16900円にタッチするが、その後は上値を追えない。ドル円は103円を少し上回るだけ。それでも2時台は16900円をはさんで上昇と下落の綱引きが続き、終盤に高値を取ったものの終値では16900円台に乗せられなかった。日中値幅は81円と小さかった。

 新規IPOが1件。自社サイト「ブランディア」などでブランドファッションに特化した宅配買取・販売を行うデファクトスタンダード<3545>が東証マザーズに新規上場。公開価格1630円より41.1%高い2300円の初値がついた。新規IPOが約1ヵ月の夏休みを終えた再開日は白星で飾った。

 日経平均終値は162.04円高の16887.40円、TOPIX終値は+16.73の1329.54。台風一過で円安が進行し、しかも月末で投資家もようやく「天の岩戸」から出てきたらしく売買高は20億株、売買代金は2兆2045億円で両方とも大台を回復。値上がり銘柄数は1459、値下がり銘柄数は404。プラスは29業種で、その上位は銀行、電気・ガス、証券、空運、石油・石炭、鉱業など。マイナスは医薬品、小売、金属製品、情報・通信の4業種。上海総合指数は0.35%高だった。

 リオ五輪やジャクソンホール会合があった「夏枯れ」の8月の取引が終了し、7月29日の終値16569.27円から318.13円上昇して今月の取引を終えた。「ブレグジット」による6月24日の底値14952円から1935円上昇して、数字の上では「いい夏」だった。