拡大する介護ロボット市場に不安の声も

2016年10月17日 07:17

 人手が足りていない介護の現場で「介護ロボット」の活躍が期待されている。2013年度にスタートした国家プロジェクトである「ロボット介護機器開発・導入推進事業」には多くの企業が参画。15年頃から製品化されるものが増え、16年度以降も新製品が続々登場、企業の新規参入も相次いでいる。20年度には市場が149億5,000万円まで拡大すると見られている。

 今月7日には、パナソニック<6752>が「リショーネPlus(プラス)」を発表。ベッドを半分に分離し、片側が車椅子になるという介護ロボットだ。利用者がベッドの片側に寄るだけで車椅子に乗り移れるため、介護する側の負担を軽減できる。17年1月、介護施設向けに販売を開始するという。

 また、介護ロボットの導入を希望する介護サービス業者に対し、国の制度を利用して費用を助成する自治体が増加している。大阪市は予算枠約1億円を確保。室内での危険を感知できる「見守りセンサー」や、寝たきりの高齢者を抱き上げる時に装着する「ロボットスーツ」などの導入を促す。補助の対象は要介護者の移動や入浴、排せつなど支援するロボットで、1台20万円を超える機器の導入費を92万7,000円まで補助するという。大阪市の他にも、多数の事業者が神戸市や京都市など補助制度を設けた自治体に申請を行っている。

 一方で、介護ロボットの導入に否定的な声もあがっている。ウェルクスは介護ロボットについての調査を実施し、「介護の職場に介護ロボットが導入されることの賛否」を調べたところ、身体機能補助ロボットについては66.2%が賛成、33.8%が反対と回答。人間の言葉を理解して会話できるコミュニケーション型の介護ロボットでは、62.1%が賛成、37.9%が反対と回答した。

 反対と回答した理由には「機械の故障で事故が起こった時、責任はどうなるのか」「コミュニケーションは人間同士でないと成立しないのでは」などがあがったという。

 少子高齢化が進む中、介護ロボットの必要性は今後さらに高まっていくだろう。しかしながら、安易に導入して事故を招くわけにはいかない。介護する側も介護を必要とする側も安心して頼れるロボットの普及に期待したい。(編集担当:久保田雄城)