核兵器禁止条約交渉 外相は積極参加の考え示す

2016年10月29日 10:51

 民進党の安住淳代表代行は28日午後の記者会見で、核兵器禁止条約制定決議案に日本政府が反対したことに「唯一の被爆国である日本が反対というのは世界には分かりにくい話なので、国民や世界に対し、なぜ反対したのかを分かり易く説明する責任が政府にはある」と語った。

 岸田文雄外務大臣は同日の記者会見で、反対に回ったことについて「核兵器国と非核兵器国の協力を重視する立場であり、核兵器禁止条約の交渉開始を内容とする決議には反対をした」と語った。ただ核兵器禁止条約の交渉開始を求める決議は賛成多数で採択されている。

 岸田外務大臣はこれを受けて「明年このような条約交渉が行われることは確実になった。交渉への参加・不参加を含め、これまで連携してきた豪、独など中道諸国の動向も見極めつつ、政府全体で検討していくことになる」とした。

 そのうえで「私としては交渉に積極的に参加し、唯一の被爆国として、そして核兵器国、非核兵器国の協力を重視する立場から、主張すべきことはしっかりと主張していきたいと考えている」と語った。

 岸田外務大臣は核兵器禁止条約制定決議案に反対した理由について「我が国としては慎重な検討を重ねた」としたうえで(1)具体的・実践的措置を積み重ね「核兵器のない世界」を目指すという我が国の基本的立場に合致しない(2)北朝鮮の核・ミサイル開発への深刻化などに直面している中で核兵器国と非核兵器国の間の対立を一層助長し、亀裂を深めるものになると語った。

 一方、日本、米国など110カ国が共同提案した「核兵器廃絶決議案」「核兵器の全面的廃絶に向けた新たな決意の下での共同行動」が167カ国の支持を得、採択されたことについては、昨年は106カ国による共同提案、全体で156カ国の支持だったのに比べ、広がりをみせて採択されたとして「大変喜ばしく思う。本決議案は12月初旬に国連総会本会議において採決にかけられる予定だ」と期待した。この決議案には中国、ロシア、北朝鮮、シリアが反対した。(編集担当:森高龍二)