ラオスでの「日韓首脳会談」で、朴大統領は「北の核・ミサイル能力の高度化は両国にとって深刻な脅威。北の挑発への対応はもちろん、『北の非核化』を実現するために、さらに緊密に協力していく必要がある」とより強力な協力関係を求めた
北朝鮮が5回目の「核実験」を北朝鮮建国記念日(9月9日)に実施した。気象庁は地震波形が過去4回の核実験と同様であることから、今回の地震が自然地震でない可能性が高いことを確認した。
金正恩(キム・ジョンウン)体制を誇示し、国際的には、締め付けが一層厳しくなる一方の国際社会へ『屈しない姿勢』をアピールするものになったのか・・・。東アジア地区から核のない社会実現へ、まったく逆行する動きが加速していることは憂慮すべき事態だ。
会議で姿勢が悪かったという理由で要人を銃殺する国内の恐怖政治を、核と弾道ミサイルで世界に広げるような姿勢に、世界中が連携して修正を求めなければならない。
その中心が韓国・中国・アメリカ・ロシアと日本であることは言うまでもない。特に構築された日米同盟の深化に次いで、必要なのは「日韓連携・協力関係の強化」だ。
今年1月の核実験、8月24日の「潜水艦発射弾道ミサイル」の発射による日本の排他的経済水域への着弾。今月5日には韓国と中国の首脳会談終了直後に、3発もの中距離弾道ミサイルが発射され、1000キロ飛翔して日本の排他的経済水域に着弾した。いずれも発射が成功していることは、短期にミサイル能力の精度を増していることを裏付けるもので、核開発加速もみてとれる。
安倍晋三総理は、潜水艦発射弾道ミサイルは「新たな脅威で、地域の安全保障に対する深刻な脅威」とし、各国との首脳会談や国際会議のあらゆる機会に北朝鮮に安保理決議を遵守するよう求める機運づくりに努めてきた。
隣国・韓国では、朴槿恵(パク・クネ)大統領が、東アジア首脳会議で「北の核・ミサイルは、わずか4、5分でソウルを含む韓国全域に到達する。われわれの生存にとって実存する脅威」と明確に切迫した状況下にあることを表明している。
こうしたことから、ラオスでの「日韓首脳会談」で、朴大統領は「北の核・ミサイル能力の高度化は両国にとって深刻な脅威。北の挑発への対応はもちろん、『北の非核化』を実現するために、さらに緊密に協力していく必要がある」とより強力な協力関係を求めた。
北朝鮮のここ1年の動向をみるにつけ、安全保障上、日本は2012年以来、停滞している「日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)締結」の加速化を急がねばならない。日韓両国のみでなく、地域の平和と安定のために必要な協定だ。稲田朋美防衛大臣も「早期締結が望ましい」と7日の記者会見で示した。
聯合ニュースは「韓国外交部の趙俊赫(チョ・ジュンヒョク)報道官が8日の定例会見で、日本とのGSOMIA締結に『国会と国民の理解と協力を十分に得ることが必要』との認識を示した」と伝えた。また日韓首脳会談でGSOMIAの話がテーブルに乗ったと明かしている。
聯合ニュースは「報道官の発言は、日本との軍事協力に対する世論などを踏まえた上で、締結を検討する姿勢を示したものとされる」と伝えた。韓国においても軍事情報の共有、漏えい防止のための協定締結の必要を認識していることを示すものだ。
稲田防衛大臣は9日昼の記者会見で「北朝鮮の過去4回の核実験を通じた技術的成熟などを踏まえれば、(今回の核実験も踏まえ)北朝鮮が核兵器の小型化、弾頭化の実現に至っているという可能性も否定できないのではないかと思う」と危機感を隠さなかった。
日韓中首脳会議が年内に実現すれば、そこで日韓首脳会談を行い、GSOMIA締結に前進を図ることが期待される。安倍総理・朴大統領は慰安婦問題を終結させる英断を行った。そして今、終結への路線を歩んでいる。両首脳が緊迫する北朝鮮問題と未来志向の友好関係構築へ、一層のリーダーシップを発揮することで、GSOMIA締結の課題も突破できると信じる。国内において多くの課題を抱える中で慰安婦問題に英断を下した朴大統領にも敬意を表し、今回の課題にも、解決へ期待を申し上げたい。(編集担当:森高龍二)