正しく知って賢く積み立て 個人年金のメリットとデメリット

2016年11月08日 07:49

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個人年金保険の加入率は30代から徐々に上昇する。しかし50代でも28.4%とそこまで高くない。まずは公的年金の保険料をきちんと払っていることが大前提だ。

 「老後の生活の足しに」「税金対策に」と、加入を進められる個人年金。保険料を積み立てることで将来一定の年金を受け取れるという、保険会社や銀行が販売している金融商品だ。払込金額やその完了期間、受け取りの期間などは商品によって異なる。公的年金の先行きが不透明な中、最近は2、30代からも注目されている金融商品だ。

 しかしこの個人年金、条件や契約内容をきちんと把握していないと損をしてしまう可能性がある。たとえば、運用面。年金とは基本的に顧客が支払った保険料を運用し、増やして還元するものだ。しかし個人年金の保険料のうち運用に回るのは半分。残りの半分は付加保険料として保険会社の経費などに回されることになる。元手が少ないということは当然リターンも少なくなる。つまり個人年金は金融商品としてはローリスク・ローリターンの商品ということだ。そして個人年金は基本的に契約時に運用利率が決められる。しかし現在の景気が受け取り時まで続いているとは限らない。急にインフレになった場合は実質的に目減りをすることになる。

 受け取る条件についてもきちんと理解しておきたい。終身年金は一生年金が受け取れるのものだが、逆にいえば早く死亡するとそれ以降は給付されないということだ。万が一早く亡くなってしまうと受け取った額が払い込んだ額より少なくなってしまう、いわゆる「元本割れ」が起こる可能性がある。一方確定年金はあらかじめ受け取り期間が決められているので、この間に本人が死亡したとしても遺族に給付される。原則として元本割れや掛け捨てにはならない仕組みだ。そして有期年金は確定年金の「死亡以降は給付されない」版だと捉えてもらえばいい。死亡する時期によっては元本割れになるが、その分保険料は安く設定されている。

 最後に、個人年金加入を検討する際に考えてほしいのが公的年金の存在だ。何かと不安視されがちな制度だが、運用面では民間の個人年金とは比較にならない。たとえば20歳から60歳まで国民年金で払い込んだ総額が1200万円だったとする。しかし平均寿命まで生きると計算上、受取金額は2100万円にもなる。この数字を見ると、多少は頼りにしていい存在に思えないだろうか。将来が不安な気持ちは誰にでもある。しかし現状で無理のない範囲で行うことが大切だ。 (編集担当:久保田雄城)