15年の有料動画配信サービス利用者数は1,160万人 2019年には1,730万人へ拡大

2016年11月13日 11:32

 インターネット上の有料デジタルコンテンツを一定額で利用できるサービスが増加している。ここ数年でコミック、書籍、雑誌、音楽、映画などの多くが定額制見放題で利用できるようになってきた。有料動画サービスの多くは、かつては1本あたり数百円程度で視聴できるペイパービュー(PPV)方式が中心だったが、月額1,000円以下で大量の動画を見放題で提供する「定額見放題」サービスの利用者も急増してきた。

 これを受け、ICT総研は、「2016年 有料動画配信サービス利用動向に関する調査」の概要をまとめた。

 それによると、2015年末(12月末)時点の有料動画配信サービス利用者は980万人で、このうち定額制サービスの利用者数は約3分の2にあたる640万人であった。2016年末の有料動画配信サービス利用者は1,160万人となる見込みで、さらに2019年には1,730万人にまで拡大すると予測する。特に定額制サービスの利用者増が顕著で、2019年には定額制サービス利用者だけで1,500万人を突破する見通しだとしている。

 同社が2016年10月に、4,406人のインターネットユーザーに対して実施したWebアンケート調査の結果では、動画配信・無料サービスのみを利用するユーザーは68%であった。また、定額制サービスを利用するユーザーは10%で、ペーパービューサービスを利用するユーザーは2%である。動画サービスを全く利用しない人も20%いる。現在、無料動画サービスしか利用していない人が有料サービスに移行する可能性もあり、有料動画サービスの潜在市場は大きいものと想定される。

 有料動画サービスを利用していると回答した523人の中で、主に利用する動画サービス名を聞いたところ、45%の人がAmazon プライム・ビデオを利用していると回答した。プライム・ビデオは、年間3,900円(税込)で加入することができ、配送料無料や音楽コンテンツの聴き放題サービス(Prime Music)など多様なサービスが含まれることからコストパフォーマンスが高いと認識され、利用者拡大につながっているものと思われるという。

 次に利用者数が多かったのがHuluで、27%の人が利用していると回答した。Huluは、月額933円(税別)でHuluに登録されている全てのコンテンツが見放題となるサービスである。HuluもAmazonと同様、米国を発祥とするサービスであり、ハリウッド映画など海外コンテンツが豊富なことで評価されている。日本向けサービスでは、日本のテレビ局がコンテンツを提供しており国内コンテンツも充実してきた。3位だったのがGYAO!で、16%の人が利用していると回答した。以下、dTVの利用率が15%、楽天SHOWTIMEが15%、auビデオパスが12%と続く。

 アンケート調査の結果では、パソコンユーザーの74%がパソコン端末上で無料・有料動画サービスを利用していると回答した。これは昨年の68%から6ポイント上昇している。スマートフォンユーザーがスマホ端末で動画サービスを利用する割合は54%で、こちらも昨年の50%から4ポイント上昇している。しかしタブレット端末による利用率は24%、テレビによる利用率は9%と低く、いずれも昨年の利用率を下回る回答結果となった。

 有料動画配信サービスで利用されている主なコンテンツは映画(洋画)が66%と最も多く、次いで映画(邦画)が58%、さらに海外ドラマ45%、アニメ42%、国内ドラマ40%となっているという。(編集担当:慶尾六郎)