日本弁護士連合会の中本和洋会長は、13日までに第2次安倍政権下での死刑執行ケースが今月11日の福岡拘置所での執行を含め10例、17人になるとして、「死刑執行を停止し、2020年までに死刑制度の廃止を」と求める談話を発表した。
死刑については刑法学会でも、刑罰は応報として、犯罪抑止力を含め、肯定する考えと社会復帰への教育から、死なせてしまえば目的を達成できないので、相いれないとして否定する意見に分かれる。
日弁連は「犯罪により命が奪われた場合、失われた命は二度と戻ってこない。このような犯罪は決して許されるものではなく、犯罪により身内の方を亡くされた遺族の方が厳罰を望むことは、ごく自然なことであり、その心情は十分に理解できる」としながらも「生まれながらの犯罪者はおらず、犯罪者となってしまった人の多くは家庭、経済、教育、地域等における様々な環境や差別が一因となって犯罪に至っている」と主張。
そのうえで「刑罰制度は犯罪への応報であることにとどまらず、社会復帰の達成に資するものでなければならない」と死刑廃止を訴えている。
日弁連は「人権を尊重する民主主義社会であろうとする我々の社会においては犯罪被害者・遺族に対する十分な支援を行うとともに、死刑制度を含む刑罰制度全体を見直す必要がある」と主張している。死刑制度の是非については、犯罪抑止効果も含め、まだまだ議論が続きそう。(編集担当:森高龍二)