日本弁護士連合会の中本和洋会長は政府が2020年までに最低賃金を1000円にする新成長戦略(2010年に閣議決定)目標を達成させるためには「1年当たり50円以上の引上げが必要」とし「中央最低賃金審議会は本年度、全国全ての地域において、50円以上の最低賃金引上げを答申すべき」と18日までに提起した。
中央最低賃金審議会は厚生労働大臣に本年度地域別最低賃金額改定の目安について、今月下旬に答申を行う予定。中本日弁連会長は「最低賃金周辺の賃金水準で働く労働者層の中心は非正規雇用。非正規雇用は全雇用労働者の4割に増加し、女性の割合が多く、若年層で急増している」と指摘。
そのうえで「貧困率が過去最悪の16.1パーセントにまで悪化し、女性や若者など全世代で深刻化している貧困問題を解決し、男女賃金格差を解消するためにも最低賃金の大幅な底上げが図られなければならない」と大幅な値上げの必要を提案している。
中本会長は「昨年度の改定では全国加重平均18円の引上げで全国加重平均798円になったが、798円という水準ではフルタイム(1日8時間、週40時間、年間52週)で働いても月収約13万8000円、年収約166万円にしかならず、労働者が経済的に心配なく暮らせる水準には程遠い」と諸外国の最低賃金(4月上旬の為替レートで換算して、フランスは1219円、イギリスは1151円など)とも比較し、大幅引き上げの必要を訴えている。(編集担当:森高龍二)