日本電産が、イタリアの産業用モータ大手アンサルド・システム・インダストリー(ASI)を買収すると発表。米国の投資ファンド、パトリアーチ・パートナーズの非上場関連子会社が保有するASIの全株式を譲り受ける売買契約が成立、5月に取得するとのこと。
家電・産業用モータ事業を重点事業のひとつとし、M&Aを積極的に加速展開することにより事業拡大を目指している日本電産。2010年9月には、米国企業の買収により日本電産モータを発足、北米・南米における産業用モータ事業の強化を進めていた。
今回買収が発表されたASI は、イタリアのミラノに本社を置く、産業用モータ事業の分野では約160 年の歴史を有する欧州の老舗企業。欧州に強力な販売基盤を有しており、さらに中東、ロシア、インド、中国にも販売実績を有している。また、産業用大型モータに加え、低電圧・中電圧ドライブ事業、産業システム及びオートメーション事業も主要事業としており、顧客のニーズに応じてカスタマイズされたソリューション提供を行っているという。
今回の買収により、従来、販売基盤を有していなかった地域(欧州並びに中東、ロシア、インド、中国)の市場を獲得。また、これまで有していなかった高出力(3730から35000kW)の産業用大型モータ・発電機事業、低電圧/中電圧ドライブ事業、産業システム及びオートメーション事業を獲得することにより、フルレンジの製品を有するソリューション提供者としての地位を確立、更に、現在は水周り・排水事業分野に強みを有するのに対し、ASIは金属、発電、オイル・ガス事業分野に強みを有しているため、市場拡大も大きく前進することとなる。
ハイブリッド車や電気自動車、風力発電設備など、需要が拡大傾向にある産業用モータ市場。先進国での高効率規制への対応や、新興国での生産設備需要などもあり、しばらくはこの傾向は続くと見られている。日本企業の製造業が軒並み低迷にあえぐ中、今回の買収など積極的な事業拡大を続ける日本電子は、こういった需要を取り込み、成長することができるであろうか。今後の動向に注目が集まりそうである。