車載ディスプレイ市場はTFT-LCDが市場けん引し拡大 2020年には4,914億円に

2016年04月09日 18:11

 総合マーケティングビジネスの富士経済が、車載ディスプレイやそれらに関連する車載システム、車載操作インターフェース、車載ディスプレイ部材の市場動向を調査した。その結果を報告書「2016 車載ディスプレイ関連市場の将来展望」にまとめた。この調査はTFT-LCD、OLED、曲面ディスプレイ、異形ディスプレイを対象とした。

 この調査によると、2015年の車載用ディスプレイ市場は前年比11%増の2,877億円になる見込みで、2020年には14年比で89.6%増の4,914億円まで拡大する見込みである。そのうち15年のTFT-LCDは前年比9.4%増の2,808億円になる見込みで、市場を牽引している。

 車載システムは、2015年は前年比7%増の4兆6,359億円、2020年には14年比52.5%増の6兆6,059億円にまで角田すると予測している。なかでも北米におけるリアカメラや、欧州におけるディスプレイオーディオの普及でCID(Center Information Display)の搭載が増加しており、車載ディスプレイの需要は拡大しているという。CIDは日米欧、中国でカーナビやオーディオが普及したため、搭載率が上昇している。市場は拡大し、2015年は前年比9.5%増の3兆2,108億円、2020年には14年比で66.8%増の4兆8,919億円が見込まれる。

 メーター(メーターパネル:車速、エンジン回転数、水温、燃料残量などの情報を表示するコックピットモジュールの一つ)は、15年は前年比1.3%増の6,764億円、2020年には14年比で13.4%増の7,570億円と予測している。自動車生産台数に連動して、米国、中国、中南米、アジアを中心に市場は今後も拡大するとみられる。テレマティクスの普及による車内情報量の増加に伴い、メーターは多機能化していくとみられる。

 HUD(ヘッドアップディスプレイ)は、日米欧の高級車向けが主要である。「2015年は前年比30.4%増の527億円、2020億円には14年比で5.4倍の2,162億円と予測している。Euro NCAP 2015」ではミドルクラス(全長4,100mm以上~4,800mm未満の車種)以上の新車にHUDが推奨されており、欧州を中心に市場拡大を続けている。HUD搭載の歴史が最も古い北米や日本では高級車におけるオプション搭載が増加するとみられる。

 ミラーは2014年、日米欧、中国で自動車生産台数が増加したため、市場が拡大した。2015年は中国や南米、東南アジアなどの新興地域で自動車販売数が低迷したため、前年比5%増の6,960億円、2020年には7%増の7,408億円と予測している。今後は需要の伸びが鈍化すると見込まれる。米国ではKT法の施行などにより、モニター用ディスプレイ搭載ミラーの提案が行われており、ルームミラーのディスプレイ化が進展し、市場の成長が期待される。

 車載操作インターフェースは静電容量式タッチパネル、抵抗膜式タッチパネル、曲面タッチパネル、静電容量式タッチスイッチ、タッチパッド、触覚デバイスのモジュールを対象とした。2015年は前年比61.6%増の438億円、2020年には14年比で3.1倍となる840億円と予測した。静電容量式タッチパネルやタッチスイッチの需要が急速に拡大するとしている。

 車載ディスプレイ部材は2015年に前年比31.8%増の145億円、2020年には14年比で3.7倍の404億円を見込んでいる。車載ディスプレイにおける静電容量式タッチパネルの搭載率の増加に伴い、ITOフィルムなどのタッチパネル用部材の需要が拡大した。今後車載ディスプレイの搭載率上昇に連動し、ディスプレイ部材市場は堅調に拡大するとみられるとしている。(編集担当:慶尾六郎)