東北大が強靱で軽量な自立発電型スマート材料を開発 ウェアラブル・IoTデバイス応用へ期待かかる

2016年11月28日 17:02

 東北大学大学院工学研究科材料システム工学専攻の成田史生准教授(材料科学総合学科)は、磁歪ファイバーを”逆磁歪(ぎゃくじわい)効果”の機能を高めて機械構造物本体に埋め込む技術を確立し、強靱かつ軽量で発電性能が世界最高レベルの複合機能型新素材を開発した。

 今回、埋め込んだ磁歪材料は、鉄基で原料が安く、加工性と強度に優れ、磁化・磁歪特性も良いFe‐Co(鉄‐コバルト)合金。これを直径1~0.2mmの線材にして、磁束が繊維方向に浸透しやすい性質を引出し、かつ、エポキシ系母材樹脂内部に埋め込む際の製造工程を改良して、逆磁歪特性が極めて高い複合材料を作製した。さらに、樹脂の外側にコイルを配置することにより、衝撃荷重で大きな電圧を発生させることに成功した。

 今回の複合機能型新素材は、従来の希少金属からなる脆くて加工が難しい磁歪材料2種(希土類系ターフェノールD、Fe‐Ga系ガルフェノール)では不可能とされていた強靱さと軽量化を実現しているという。また、構造体に成形一体化できるので設計の自由度もある。この新素材は、ウェアラブル・IoT(モノのインターネット)デバイスへのマイクロ環境発電・蓄電機能へも適用可能であり、日本発の”自立発電型”スマート材料の開発一例として注目を浴びている。

 研究の一部は、公益財団法人みやぎ産業振興機構(井口泰孝理事長)のプロジェクト創出研究会助成事業下の”新磁歪・電磁スマートデバイス開発研究会”の支援を受けて行われている。また、Fe‐Co合金は、古屋泰文氏(東北大学客員教授、弘前大学名誉教授)によって2011年に発明されたもので、東北特殊鋼によって量産化可能になった。(編集担当:慶尾六郎)