15年の国内ITインフラストラクチャサービス市場規模は2兆4,498億円

2016年11月24日 07:16

 IT専門調査会社 IDC Japanは、国内ITサービス市場における、ITインフラストラクチャの設計/構築、アウトソーシング、サポート&トレーニング、セキュリティの各領域の影響を定量的に切り出した国内ITインフラストラクチャサービス市場予測を発表した。

 それによると、2015年の国内ITインフラストラクチャサービス市場規模は2兆4,498億円だった。同市場の2015年~2020年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は1.7%と予測している。

 ITインフラの設計/構築を中心とするITインフラストラクチャコンサルティング&インテグレーション市場は、2015年は企業の業績回復に伴う積極的な投資の影響が続いたとみられ、前年比成長率は4.6%となった。2016年以降は、既存システムの更改や統合に合わせたクラウド移行に伴う設計/構築案件、および始めからクラウドの利用が前提の新規案件の増加によって、クラウドに関わる投資が拡大する一方、クラウド以外については縮小し、全体として成長率は緩やかに下降していくとみられる。2015年~2020年のCAGRは1.7%に落ち着くとみているという。

 ITインフラストラクチャアウトソーシング市場は、クラウドサービスやデータセンターサービスの普及に支えられ、2015年の前年比成長率は4.0%を示した。2016年以降も、ITインフラの複雑化によって企業における運用リソースやコストの負担が増大していることを背景に、ハイブリッドクラウド運用管理やマネージドセキュリティサービスなどにけん引されて、2016年以降も安定した成長を続けるとみられる。

 2015年~2020年のCAGRは3.1%になると予測している。またITインフラストラクチャサポートサービス市場では、ハードウェアサポート&保守の縮小傾向が止まらず、これが阻害要因となって2015年~2020年のCAGRはマイナス1.1%になると予測している。

 相次ぐ外部からのサイバー攻撃や内部からの情報漏洩事件などを背景に、情報セキュリティに対する社会的な注目度が高まっていることを受けて、ITインフラストラクチャセキュリティサービス市場の2015年の前年比成長率は6.8%に達した。IoT(Internet of Things)の普及やデジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みの拡大などとも相まって、企業が自社でセキュリティ対策を行うことが困難になりつつあるという。

 このためマネージドセキュリティサービスの需要が高まり、それがITインフラストラクチャセキュリティサービス市場のけん引役になるとIDCではみている。また、企業のセキュリティ対策を第三者の立場から審査するセキュリティ監査の重要性も増すとみられる。これらを背景に、ITインフラストラクチャセキュリティサービス市場は今後も高い成長率で推移し、2015年~2020年のCAGRは5.9%になると予測している。

 ハイブリッドクラウド環境の一般化、グローバル対応需要の高まりなどにより、複雑化するITインフラ、特にその運用管理は、企業にとってますます大きな負担になるとみられる。「ITサービスベンダーは、ハイブリッドクラウド環境を前提とした上で、企業がITインフラにかかるコストやリソースの負担から開放され、できるだけ本業のビジネスに専念できるようサポートしていくべきである」とIDC Japan ITサービス シニアマーケットアナリストの吉井誠一郎氏は述べている。(編集担当:慶尾六郎)