帝国データバンクでは2017年に創業から節目の年を迎える企業(個人経営、特殊法人等含む)を「周年記念企業」として、2016年10月時点の企業概要データベース「COSMOS2」(約146万社収録)から、創業年以降10年刻み(200 周年超は50年刻み)で抽出し、集計した。
今年も多くの企業が、創業から節目の年を迎えた。5月12日には、西川産業が創業450周年記念式典を開き、企業のトップやスポーツ選手などが多数出席した。こうした「周年記念」は、節目の年を祝うだけでなく、事業や商品の強みを改めて考える機会になり得る。
帝国データバンクでは2017年に創業から節目の年を迎える企業(個人経営、特殊法人等含む)を「周年記念企業」として、2016年10月時点の企業概要データベース「COSMOS2」(約146万社収録)から、創業年以降10年刻み(200 周年超は50年刻み)で抽出し、集計した。
2017年に創業から節目の年となる「周年記念」を迎える企業は、全国に14万 5103社を数え、このうち上場企業は458社判明した。全体では、1967年(昭和42年)に創業し「50周年」を迎える企業が2万3273社と最も多く、1977年(昭和 52 年)創業の「40周年」が2万2810社でこれに続く。上場企業では、1947年(昭和22年)創業の「70周年」が116社で最多となった。また、1917年(大正6年)創業の「100 周年」は1011社、1817年(文化 14 年)創業の「200周年」は6社、1717年(享保2年)創業の「300周年」は22社判明した。
医薬品製剤製造の小野薬品工業(大阪市中央区)は、1717 年(享保2年)の初代伏見屋市兵衛の創業から数えて300周年を迎える。同じく、1717年に創業し300周年を迎える、清酒製造の沢の鶴(神戸市灘区)は、米屋を営む初代喜兵衛が副業で酒造りを開始したのが始まりとされており、今日まで14代続いている。
1917年(大正6年)に創業し100周年を迎える企業には、北海道を地盤とする北洋銀行(札幌市中央区)、カメラなどを製造、販売するニコン(東京都港区)や、乳製品製造の森永乳業(東京都港区)、住宅設備機器を製造、販売しているTOTO(北九州市小倉北区)、タイヤ製造の横浜ゴム(東京都港区)、缶やペットボトルなどの製造、販売を手がける東洋製罐(東京都品川区)、鰹節・めんつゆ製造のヤマキ(愛媛県伊予市)などの大手メーカーが名を連ねる。
このほか、2016 年10月に東証1部・福証に上場した九州旅客鉄道(福岡市博多区)は30周年を、2007年10月施行された日本郵便株式会社法により民営化した日本郵便(東京都千代田区)は10 周年を、それぞれ迎える。
創業10、50、100周年企業の社数を業種別にみると、10周年では「サービス業」が7146社(32.6%)でトップ。また、50周年では「建設業」が8697社(37.4%)、100周年では「製造業」が 295 社(29.2%)と、それぞれ最多となった。
創業10、50、100周年企業の社数を本社所在の都道府県別にみると、10、50、100周年でいずれも「東京都」が最多となった。
2017年を前に、すでに「周年記念事業」を進めている企業もある。デジタル一眼レフカメラなどを製造、販売しているニコンは、2015年10月に創立以来受け継がれてきた技術と伝統、進化の紹介を目的として、創立100周年を記念し「ニコンミュージアム」をオープンした。TOTOも、2015年8月、創立100 周年を迎える記念事業の一環として「TOTOミュージアム」を開設した。
こうした周年記念イベントは、自社ブランドの向上などを期待して実施されるものだが、全社員が企業理念などを改めて共有することで、団結力を高める機会を創出するという側面もある。「周年記念」を機に、さらなる飛躍を遂げる企業が増えることを期待したいとしている。(編集担当:慶尾六郎)