京大 C型肝炎ウイルスの感染予防ワクチン開発

2016年12月04日 11:03

画・京大 C型肝炎ウイルスの感染予防ワクチン開発

京都大学及び国立感染症研究所らの研究グループはHCV(C型肝炎ウイルス)の感染、発症を予防するワクチンの開発に成功した

 京都大学霊長類研究所の明里宏文教授、国立感染症研究所の加藤孝宣室長らの研究グループは有望なHCV(C型肝炎ウイルス)ワクチンの開発に成功したと発表した。不活化HCV粒子をワクチンの細胞の免疫力を高める補強材・K3-SPGとともに小型霊長類に摂取して効果を検証。その結果、感染と発症予防に有効な中和抗体および細胞性抗体を効率よく誘導できることが初めて発見された。

 HCVはC型肝炎を引き起こすウイルスである。HCVに感染すると急性肝炎から慢性肝炎陥り、肝硬変、そして肝ガンへと数十年の期間を経て進行していく可能性がある。さらに恐ろしいのはHCV感染者の約70パーセントが持続感染者となること。そして肝臓は「沈黙の臓器」と言われるほど病気が進行していても症状が目に見えて表れにくい臓器である。自覚症状がないまま病気が進行する可能性があるので、HCVに感染したことが判明したら症状の有無にかかわらず精密検査と治療を含めた対処の検討は必須である。

 現在、HCVへ直接作用する抗ウイルス薬が開発されC型慢性肝炎の治癒率は飛躍的に向上している。しかしこの治療法は高額の費用が掛かり、再感染のリスクもある。また感染がいまなお拡大している発展途上国においては感染や発症の段階で予防ができるワクチンが求められていた。そのような現状の中、同研究によって発見されたワクチンはより水際でHCVへ対処できることから期待が高まっている。

 日本国内においては現在約100万人のHCV感染者が存在するとされている。その中には感染を自覚していない人や積極的な治療に当たっていない人も多く含まれているという。慢性肝炎、肝硬変、肝ガンの患者のうち薬60パーセントがHCV感染者、および肝ガンの死者が年間3万人にもなるという中、HCVワクチンの早期実用化が期待されている。また、HCV感染の自覚と治療の正しい知識の周知が急がれている。自身がHCVに感染している事を自覚しているか否かで人生が大きく左右されるのだ。(編集担当:久保田雄城)