15年の世界の3Dプリンタ出荷台数は前年比72.7%増の19万台

2016年12月08日 07:24

3Dプリンタとは、3次元データをもとに樹脂や金属などの積層によって、立体物を造形する装置を指し、主な製品タイプとしては造形方式や使用する材料の違いにより、熱溶解積層方式、光造形方式、粉末焼結方式、インクジェット方式などがある。近年、様々な用途に用いられており、急速に普及している

矢野経済研究所の調査によると、2015年の世界の3Dプリンタ出荷台数(メーカー出荷数量ベース)は、前年比72.7%増の19万台となった。市場は、60万円未満のローエンド3Dプリンタと60万円以上の産業用ハイエンド3Dプリンタの二極化が進んでいる。出荷台数を牽引するのはローエンド装置で、簡易かつ迅速に試作を行うための導入が進む他に、ものづくりの現場でエンジニアらが3Dプリンタの扱い方を学ぶため、教育機関での導入が増加基調にある。それにより、2016年の 3Dプリンタ出荷台数(同ベース)は、前年比84.2%増の35万台になると予測する。

 また、産業用のハイエンド3Dプリンタは、航空宇宙、自動車、医療、家庭用電気製品などの分野を中心に最終製品の造形に向けた導入が拡大基調にある他、造形サービス事業者(サービスビューロー等)での導入が増加している。3Dプリンタで造形するものの量が増えるとともに、追加で装置を導入する企業やよりハイエンドの装置にリプレイスする企業も増えている。3Dプリンタの性能は近年、かつてないスピードで進化している。装置の性能向上、新しい材料の誕生、製造現場などへのさらなる普及により、市場は今後も大きく拡大する見通しである。

 これらを背景に、世界の3Dプリンタ出荷台数は、2013年から2019年までのCAGRは77.0%で推移し、2019年における出荷台数(同ベース)は215万台になると同社では予測している。

 日本国内においては、2013年下期から2014年にかけて起きた3Dプリンタブームの中で、3Dプリンタに対する正確な知識を持たないままで導入するケースも多数みられたことなどから、3Dプリンタに対する過剰な期待が大きな落胆へと変わったと言われている。そのため、2015年は世界市場で牽引役となったローエンド装置を中心に出荷数量が伸び悩んだ。一方で、産業用のハイエンド 3Dプリンタに関しては、ユーザーの装置に対する正確な知識も浸透しはじめ、ものづくりの現場における本格導入が日本国内においても堅調である。また、自動車分野や金型製造業、造形サービス事業者等を中心に、3D プリンタの活用が盛んである。

 同社は調査に関連して、日本国内での3Dプリンタユーザーへのアンケート調査を 2016年10月に実施した。現在 3Dプリンタを利用している者、もしくは過去に 3Dプリンタの利用経験を持つ154人に対して、3Dプリンタで造形しているもの/用途について尋ねた。回答のトップは「試作品」で59.1%であった。今のところ、3Dプリンタの活用は未だ試作が中心だが、「治具」が 24.7%、「最終製品(の一部)(パーツなど)」が 20.1%、「金型」が 16.9%と続いており、アンケート調査の結果からは、国内においても3Dプリンタを用いた本格的なものづくりが始まりつつあると言えるとしている。(編集担当:慶尾六郎)