拡大する3Dプリンタ市場 13年は世界で7万台、17年には32万台へ

2014年11月20日 08:15

 今では3Dプリンタで何でも作れる時代になった。加えて、クラウドファンディングなどによる新規参入事業者の増加でコンシューマ向け3Dプリンタ装置の価格競争が進んでいる。また、欧米を中心に3Dプリンタに対する国の金銭的支援や旺盛な3Dプリンタ利用に向けた教育、最終製品の造形などが活発に進展している。

 株式会社矢野経済研究所によると、2013年の世界の 3D プリンタ出荷台数は 7 万台(事業者出荷数量ベース)であった。2013 年から2017年までの CAGR は46.2%で推移し、2017年の同出荷台数は 32 万台(同ベース)に拡大すると予測している。また、2017年の国内の3Dプリンタ出荷台数は2 万2000 台(事業者出荷数量ベース)に成長すると予測している。

 2013年の世界の3Dプリンタ出荷台数は7万台(事業者出荷数量ベース)となった。このうち国内3Dプリンタ出荷台数は 3600 台(同ベース)であった。国内においてはマスメディアによる 3D プリンタの報道が過熱し、これまで興味先行での導入が進んでいた。しかし、2014年に入り、工業・研究分野でのコスト削減、納期短縮などといった 3Dプリンタの特長を評価した本格的な導入が増加基調にあるという。

 国内市場を牽引しているのは小型で安価なコンシューマ向け(装置価格が50万円未満の)装置で、モノづくり企業における入門機としての他、社員教育用ツールとしての導入が増加している。それにより、2014年の国内3Dプリンタ出荷台数(同ベース)は、前年比 172.2%の 6200 台に拡大すると予測した。

 2013 年下半期以降、既存の 2D プリンタメーカーが 3D プリンタ市場に新規参入する動きが活発化している。2D プリンタメーカーは、2D プリンタと 3D プリンタには共通する技術があることや 2D プリンタ事業で培ったブランド力を強みに、3D プリンタ市場でシェアを拡大していくと予測した。また、これらの企業が市場参入することで、装置や材料の低価格化が進むことが期待されており、市場拡大につながるとしている。

 また、3D プリンタは、手戻りの減少などコストと時間を着実に削減・短縮するツールとして、製造業の試作品製作(造形)に用いられるケースが多い。しかし、造形精度の向上や素材種類の増加に伴い、日本国内においても、3D プリンタによる最終製品の造形ニーズが高まっている。最終製品の造形に利用されることで、3D プリンタや材料はますます高性能化し、ハイエンド(装置価格が 1000 万円以上の)装置の需要が高まる。そのため、中小企業にとって3Dプリンタは手の届きにくいものになり、3D プリンタによる造形サービス事業者への需要は、今後、中小企業などを中心に増加していくとしている。

 今後、国内の3Dプリンタ市場拡大への貢献が期待されるのは、教育分野や医療・福祉分野、航空宇宙分野などであるという。教育機関は予算が厳しいところも多く、コンシューマ向けの3Dプリンタ装置の導入が多くを占めるが、2014年に入り、国による補助金制度が発表されたことが導入の追い風になると考える。

 そして、さらなる教育分野の市場拡大のためには、ランニングコスト(材料や消耗品等)への手厚い補助の検討を期待するとした。これらを背景に 2013 年から 2017 年までの CAGR は 57.2%で推移し、2017 年の国内の 3D プリンタ出荷台数は 2 万 2000 台(事業者出荷数量ベース)に成長すると予測している。(編集担当:慶尾六郎)