矢野経済研究所では、国内のコールセンター(テレマーケティング)市場、コンタクトセンター/CRM ソリューション市場の調査を実施した。
それによると、2013年度から2018年度のコールセンター(テレマーケティング)の市場規模は、年平均成長率(CAGR)1.9%で推移し、2018年度には8,831億円になると予測した。2014~2015 年度のコールセンター(テレマーケティング)の市場規模は、国内の景気回復が後押しし、僅かながら改善の兆しが見られた。2015年度は、2016年度に予定された電力自由化、マイナンバー関連案件の需要が発生した他、通販業務全般における案件増加などが好影響を与え、前年度比2.4%増となった。
2016年度は、2015年度に引き続き電力自由化、マイナンバー関連案件が拡大している。マイナンバー関連案件については 2017年度以降の需要は縮小してゆくと予測するが、電力自由化については伸び率こそ鈍化するものの、今後も拡大を見込めるため、前年度比1.6%増を予測する。2017年度以降は、2020年東京オリンピック・パラリンピックを見据え、多言語化対応サービスを導入するユーザー企業が増加傾向にある。一方で国内景気の回復が落ち着きを見せているため、市場全体の成長率としては 1%台の伸びに留まると予測する。
昨今では消費者からの電話での問合せが減少傾向にある一方で、Web経由でのノンボイス(テキストベース)の問合せが増加傾向にある。そのため、今後は Web、SNS、チャットの活用といったノンボイスでの問合せ対応に積極的な姿勢を持つユーザー企業はさらに増加していくと見込んでいる。また、第3次 AI(Artificial Intelligence:人工知能)ブームを背景に、AI活用に関心を持つユーザー企業が増加している。そのため、今後はAIを活用し VOC(顧客の声)を中心としたビッグデータの収集・分析に取り組む企業が増加していくものと考えるとしている。
2013年度~2018 年度のコンタクトセンター/CRMソリューションの市場規模は、年平均成長率(CAGR)2.7%で推移し、2018 年度には 4,945 億円に達すると予測する。 2014~2016年度のコンタクトセンター/CRMソリューション市場は、堅調に推移している。この背景にはクラウド型のサービスの普及が加速し、市場の裾野が拡大していることがある。クラウド型サービスは、従来はコンタクトセンターを持たなかった中小企業や自治体にまで普及してきている。従来は専業ベンダーが比較的小規模なコンタクトセンター向けにクラウド型のサービスを提供していたが、近年は従来に比べセキュリティ面での懸念が払拭されてきており、大規模なコンタクトセンターでもクラウド型のサービスを利用する事例が出始めたことから、クラウド型のサービス導入に前向きな企業が増えているという。
2017 年度以降については、大規模コンタクトセンター事業者がインフラ重視からアプリケーション重視へ移行していくと予測する。スマートフォンなどのモバイル端末が急速に普及したことにより、コンタクトセンターへのアクセスも外出先からやWeb経由でのノンボイスの問合せが増加している。これに伴い、モバイル端末、音声認識、会話分析、FAQ検索ツール、などに関連したアプリケーションが拡大していくと見込んでいる。またノンボイス領域の重要性が増していくため、音声のテキスト化やデータ収集、またデータ分析ニーズが高まるものと考えるとしている。(編集担当:慶尾六郎)