最新のIT技術との融合で金融サービスの利便性を向上させる「フィンテック」への取り組みが活発化している。フィンテックは金融「finance」と技術「technology」を組み合わせた造語だ。フィンテックの発展が加速したのは、2008年のリーマンショックと言われている。
8月31日、三井住友銀行<8316>とNEC<6701>は合同出資で「brees(ブリースコーポレーション)」を設立し、スマートフォンで「コンビニ支払」ができるサービスを発表した。スマートフォンの画面に払込票を表示することで、公共料金や通信販売などの代金をコンビニ収納サービスで支払えるという。支払いデータはbrees経由でコンビニから請求業者に連絡する。ペーパーレス化によって、払込票の印刷や郵送、コンビニの管理コストの削減などが実現。振込状況や期限のリマインドなど払込用紙の管理をスマートフォン上でできるという利点もある。
大手銀行はフィンテックの技術をもつベンチャー企業を支援する動きがあり、地方銀行は他の地方銀行と連携して取り組みの強化を図っているようだ。千葉銀行<8331>や岡山県の中国銀行<8382>など6つの地方銀行は、東京都内に新会社を共同で設立し、人工知能をコールセンターに活用して顧客からの問い合わせをより効率よく対応できないか具体的な検討を開始した。
埼玉県の武蔵野銀行<8336>や長野県の八十二銀行<8359>などの7つの地方銀行は、フィンテックの研究会を共同で設立し、情報交換を行っている。
大手地方銀行の横浜銀行は<8332>は、インターネット専業銀行などとフィンテックを用いて送金コストを従来の10分の1に削減することを目指し、来月から実用化に向けた検討を始めるとした。
開発ベンチャーは国内だけで100社あると言われており、大手銀行に限らず地方銀行もフィンテックを活用した新たなサービスの提供に力を注いでいる。コストの削減と利用者の利便性向上に大きく貢献するフィンテックの発展で、金融業のあり方が変わるのも時間の問題だ。(編集担当:久保田雄城)