NEC・日立・NTTデータ、AI活用のITサービスを2017年より本格始動

2016年12月05日 08:42

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NECはAIによりコールセンター業務を支援するサービスを17年3月から提供開始する。

 昨今、海外大手の情報サービス各社の重要なリリース・アップデートには必ずといってよいほどAIが組み込まれており、知らず知らずのあいだにサービスが賢くなっていっている。こうしたなか、2015年からAI活用サービスの開発やデータの蓄積に着手した国内情報サービス各社においても、いよいよ17年よりAIサービスが本格始動する。

 NECはAIによりコールセンター業務を支援するサービスを17年3月から提供開始する。AIによるテキスト含意認識技術でのパターン抽出を用いて、問い合わせ内容の意味を理解。蓄積データから最適な回答案を提示する。同技術では単語の重みや主語・述語など文章の構造を解析、文章の意味を理解する。試験的な導入では、各問い合わせに対しての回答案の正答率は90%以上だった。同サービスはオペレーターの回答支援及び自動応答システムに活用でき、作業時間を30%以上削減できるとのこと。

 日立が17年1月より提供開始するのはAIによるマーケティング施策の立案支援サービスだ。同社は独自開発のAIを用いて、顧客の購買履歴や過去の販売施策、販路といった膨大なデータの組み合わせを検証する。設定した経営指標(売上、生産性、サービス離脱など)に基づき、これが最適となる顧客の購買行動パターンモデルを生成。生成されたモデルから購買単価や施策対象商品、販売施策を提示する。

 NTTデータは子会社のリアライズと共同で、顧客データ管理サービスを開発。AIを活用して企業の顧客リストから重複するデータを精査し統合するなどデータを最適化する。同社はサービスの検証を進め17年1月以降の商用化を目指す。

 従来のビジネスアプリケーションとAIとの違いは、前者が開発者の手によるパラメータの入力にてビジネスプロセスを自動化・最適化するのに対して、後者ではデータの変化に対応して自ら学習することで多様なパターンで効果を発揮する点だ。AIが得意な処理としてテキストデータの自然言語処理技術による情報検索・応答や、画像・音声データからのパターン抽出、大量データからの情報分析や仮説生成といったものがある。圧倒的な業務効率化や最適化を提供するAIの普及と洗練に伴い、どうしたサービスをビジネスプロセスに導入するかどうかや、どういった種類のサービスを導入するかによって、企業間でのビジネス上のギャップが顕在化すると考えられる。(編集担当:久保田雄城)