11月度の全国企業倒産は件数が693件、負債総額は5,944億8,400万円

2016年12月12日 08:07

 東京商工リサーチによると、2016年11月度の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)は、件数が693件、負債総額は5,944億8,400万円だった。倒産件数は、前年同月比2.5%減(18件減)で、3カ月連続で前年同月を下回った。11月としては1990年(633件)以来、26年ぶりに700件を下回る低水準。依然として、金融機関が中小企業のリスケ要請に対応しているほか、財務内容に改善の兆しがみえる企業への貸出増も影響しているとみられるとしている。

 一方、負債総額は、前年同月比319.6%増(4,528億3,400万円増)と大幅に増加した。月次負債が5,000億円を上回ったのは、2013年4月(負債6,859億8,700万円)以来、3年7カ月ぶりのこと。増加要因としては、プラズマテレビ・ディスプレイ製造のパナソニックプラズマディスプレイが特別清算を申請し、製造業としては戦後最大の倒産が発生したことが影響した。この1件だけで、11月負債総額の8割(構成比84.1%)を占めた。ただし全体としては、負債1億円未満が500件(構成比72.1%)と7割を占め、依然として小規模倒産が過半であることに変化がないという。

 2016年11月の産業別倒産件数は、10産業のうち5産業で前年同月を上回った。このうち、飲食業や老人福祉・介護事業などを含むサービス業他が180件(前年同月比10.4%増)で4カ月連続で前年同月を上回った。また、件数は少ないが農・林・漁・鉱業が8件(同100.0%増)で3カ月連続の増加。情報通信業が31件(同29.1%増)で2カ月連続の増加。卸売業が118件(同7.2%増)で3カ月ぶりの増加、運輸業は今年最多の30件(同15.3%増)で4カ月ぶりに前年同月を上回った。

 一方、不動産業は24件(同7.6%減)で6カ月ぶりに前年同月を下回った。また建設業125件(同9.4%減)と小売業91件(同6.1%減)はともに3カ月連続の減少、製造業が今年最少の84件(同25.0%減)で2カ月連続で減少した。金融・保険業が2件(同81.8%減)で2カ月ぶりに前年同月を下回った。

 2016年11月の地区別件数は、9地区のうち東日本の4地区で前年同月を上回った。増加地区の内訳は、東北が29件(前年同月比3.5%増)で5カ月連続で前年同月を上回った。また、北海道21件(同40.0%増)で4カ月ぶり、関東290件(同1.0%増)と中部88件(同7.3%増)は、ともに3カ月ぶりに増加に転じた。産業別では、東北が運輸業(ゼロ→3件)や不動産業(1→3件)などで増加をみせた。また、北海道は小売業(2→6件)、関東では、卸売業(43→65件)や運輸業(10→14件)の増加が目立ち、中部は、飲食業などを含むサービス業他(17→33件)で件数を押し上げた。

 この一方、近畿166件(前年同月比9.7%減)と北陸13件(同27.7%減)および四国10件(同23.0%減)は、2カ月連続で前年同月を下回った。九州が51件(同13.5%減)で2カ月ぶりに減少した。このほか中国が前年同月同数の25件だった。(編集担当:慶尾六郎)