将来の復興担う世代へ、教育による支援の広がり

2012年04月09日 11:00

 今年一月、文部科学省が「復興教育支援事業」として、教育支援の取り組みやカリキュラム・プログラムを行う教育委員会や大学・NPO法人などの団体を採択。当事業を通じて3億円にのぼる支援を行うとしている。一方で、近年活発化している企業による環境・社会支援活動、いわゆるCSR活動の一環としても、教育に関する復興支援活動が活発化している。

 ソニーは、次世代を担う子どもたちの中・長期的支援のために、公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンと協力し、「RESTART JAPANファンド」を設立。グループの総合力を活かし、子どもの保護とケア、教育、創造的活動を重点とした支援プロジェクトを展開している。また、「ソニー・サイエンスプログラム」など子ども向けワークショップの開催、財団法人ソニー音楽芸術振興会が開催するチャリティコンサートとの連携なども実施している。

 また双日も、総額5億円の双日復興支援教育基金を設立。被災により経済的に修学が困難な状況にある大学生に対して、財団法人日本国際教育支援協会を通じて奨学金(返済不要)を付与することを発表。2011年から2018年までの8年間にわたり、1人当たり月額7万円・最大4年間の支援が行われ、募集人数は合計で150名に上るという。

 さらに山田養蜂場は、1999年から毎年「あなたが本を贈りたい母校やゆかりのある小学校」を一般公募し、自然環境や食、命、国際理解のなどに関する書籍を抽選で寄贈する「みつばち文庫」を行っており、2011年度は県教育委員会や各市町村教育委員会にヒアリングを実施し、東日本大震災による被害が大きい小学校へ直接電話をして受け入れの可否を確認、各出版社の協力も得て図書の寄贈も行っている。蔵書数が著しく少ない被災地小学校5校4カ所(5校のうち、2校が同じ校舎で授業をしているため)へ、全国学校図書館協議会が定める基本図書を中心に1,903冊をそれぞれ寄贈し、他の被災地小学校73校にも第13回「みつばち文庫」を寄贈。現在までに合計8,464冊もの図書を寄贈している。この他、日本コカ・コーラは「コカ・コーラ復興支援基金」を通じ、米国政府と協同して震災被災地の高校生に対し、米国でのホームステイプログラムを提供するなど、その施策は多岐に渡っている。

 被災地の復興には、まだ何年もの月日が必要だと言われている。その為、10年先、20年先の復興活動を担う世代への支援は重要なものとなる。教育関連支援は、子どもたちの今を支えるだけでなく、先の経済的復興に繋がる支援と言えるであろう。今後も継続して、このようなCSR活動が行われることを期待したい。