特定復興拠点の除染費を国が負担 法案を国会へ

2016年12月21日 08:27

 政府は20日開いた原子力災害対策本部会議で、東京電力福島第一原発事故による「帰還困難区域の復興」について、5年を目途に線量の低下状況も踏まえ避難指示を解除し、居住を可能とすることを目指す「特定復興拠点」の整備を促進するため、特定復興拠点エリアの除染費用を東京電力に求めず、国が国の費用で実施することを決めた。次期通常国会で必要な法的措置を講じる。

 同地域の除染を国の費用で実施する根拠として、政府は「帰還困難区域は『将来にわたって居住を制限することを原則とした区域』として設定され、それに基づき原子力損害賠償紛争審査会が策定した中間指針などを踏まえ、東京電力は、帰還困難区域の全域・全住民に対し、当該区域での居住が長期にわたってできなくなることを前提に賠償を既に実施してきている」ことをあげた。

 それを踏まえたうえで「今年8月、当該区域内で放射線量が低下していることや帰還を希望する住民の強い思いを背景とする地元からの要望、与党からの提言を踏まえて、政府は今まで示してきた方針から前に踏み出す形で、新たに住民の居住を目指す特定復興拠点を整備する方針を示した」ものだからだ、とした。

 つまり、今回の特定復興拠点の整備は「国の新たな政策的決定を踏まえ、復興のステージに応じた新たなまちづくりとして実施するものであるため、東電には求償しないのだ」としている。ただ、こうした論理で国税投入に理解が得られるかどうかは国会議論にゆだねられることになる。政府は特定復興拠点整備での除染について費用を東電に求償しない代わりに「東電が最大限の人的協力を行うよう指導を行う」としている。(編集担当:森高龍二)