東京電力福島第一原発事故で福島県から横浜市に自主避難した中学1年男子生徒が、同級生からいじめを受けていた。保護者は2度に渡り学校に相談したが、学校は対応せず、市教育委員会に相談して初めて実態が調査された。神奈川県警は恐喝に当たらないとして、立件しないことを明らかにした。
痛ましいいじめ問題が世間を騒がせている。東京電力福島第一原発事故で福島県から横浜市に自主避難した中学1年男子生徒が、同級生から暴力を振るわれたり、ばい菌呼ばわりされたり、金銭をせびられたいじめが発覚した。
生徒は2011年8月に福島県から横浜市に自主避難。当時小学2年生で、避難直後からいじめられるようになった。12年から13年にかけてもいじめを受け不登校になり、14年からは「賠償金を貰っているだろう」と言われ、現金約150万円を渡していたという。
保護者は14年5月28日と6月15日の2度に渡りいじめを学校に相談したものの、学校側は市教育委員会に報告しなかった。更に15年12月に保護者が直接市教委に第三者委員会の調査を要請。保護者が相談してから1年半後にようやくいじめの調査が始まり、事実が明らかとなった。
同時に保護者は神奈川県警に相談していたが、11月18日県警は恐喝容疑など刑事事件での立件は難しいと判断していたことを明らかにした。金銭のやりとりはあったものの、生徒が自ら現金を渡しており、恐喝にはあたらないと判断した。文科省では今回のいじめ問題で、義家弘介副大臣らを含む幹部を横浜市に派遣し、事実の把握と今後の対応について指導する方針だ。
少年の手記が公開され、「いままでなんかいも死のうとおもった」「いままでいろんなはなしをしてきたけどしんようしてくれなかった」「なんかいもせんせいに言うとするとむしされてた」と痛ましい胸の内を人知れず書き綴っていたのがショッキングだ。
こうしたいじめの問題が報道される度に学校の対応の不備が指摘されている。まして金品をせびられていたというのであれば、もはやいじめではなく犯罪である。いじめと金銭の授受の因果関係が濃厚であるにもかかわらず、立件せず再調査もしない神奈川県警の対応にもいささか疑問が残る。少年といえども犯罪行為に関しては厳密に対処すべきではないだろうか。今回の問題に関して文科省がどのような判断を下すのか注目したい。(編集担当:久保田雄城)