原発 民進党がすべきこと

2016年10月22日 10:21

画・原発再稼働は、本当に国民のためなのだろうか?

「原発再稼働」を最大争点にした選挙の前に、自公推薦候補は鹿児島県知事選に続いて敗れた。

 原発再稼働について「東京電力福島第一原発事故およびその影響と課題に関する3つの検証(事故原因検証、事故に伴う健康と生活への影響の検証、安全な避難方法の検証)がなされない限り、原発再稼働の議論は始められない」と公約に明記し、日本共産党、自由党、社会民主党の推薦を受けて新潟県知事選挙を戦った米山隆一氏が、自民党、公明党推薦候補に6万票以上の差をつけて知事に選ばれた。

 選挙期間中に自民党からは二階俊博幹事長はじめ80人以上の国会議員が新潟入りし、国政選挙以上の応援をしたが、「原発再稼働」を最大争点にした選挙の前に、自公推薦候補は鹿児島県知事選に続いて敗れた。

 原発政策に対し「再稼働すべきではない」との民意がこれほど反映された選挙はないのではないか。新潟知事選挙に自主投票の立場だった民進党の蓮舫代表も、江田憲司代表代行も、選挙終盤には米山氏応援へ新潟入りした。

 20日に福島入りした蓮舫代表は「原子力政策に関して複数の自治体の選挙、首長選挙で明確な結果が出ている。これからの日本は今までのようなベースロード電源(という理由付け)や再稼働ありきでは絶対に国民の理解は得られない」と、民意を直視し、『2030年代原発ゼロ』へ「ロードマップを示したい」と工程表をつくるとした。

 前日の19日には安住淳代表代行が記者会見で「2030年代原発ゼロはお題目ではない」と語り「実現にむけた政策の工程表をつくる」としたうえで、そのための取り組みについて「玄葉光一郎エネルギー環境調査会長、細野豪志代表代行の下で早期に議論を進めて頂こうと思う」と福島出身で科学技術担当大臣や外務大臣を経験した玄葉氏と原子力防災担当、原子力行政担当、環境大臣を経験した細野氏の下で「工程表」作成を進める考えを明確にした。

 もともと、安住代表代行が語ったように「2030年代原発ゼロ」は『お題目』ではない」し、お題目であってはならない。2012年、野田佳彦総理時代に民主党の方針として「2030年代原発稼働ゼロ実現」を掲げた。にもかかわらず、工程表を国民に示さないまま、4年の月日が経ったと言うべきなのだ。

 ある意味、目標を示した時の総理が、党の要〈幹事長〉を務める中で、「原発ゼロ」への工程表を国民に示すチャンスでもあり、工程表を示すことができれば、原発を未だに重要なベースロード電源などと電力供給の2割確保を決め、原発延命策をとっている自民党とは別路線を進む「政権選択肢の政党」になり得るのだろう。

 また電力総連などとの利害関係から、工程表づくりにブレーキがかかるようなことがあってはならない。選挙戦略のために工程表づくりが遅れれば政権政党にはなれないだろう。政治は結果であり、結果が出せなければ信頼を失う。

 民進党は2030年代原発ゼロへの道のりを示すこと。合わせて、今国会でも追及すべき課題が3点ある。

 「40年廃炉ルール」の徹底を求めること、廃炉費用を新電力に求めさせないこと、あわせて河野太郎前国務大臣が提起した「エネ庁の原子力政策課長が10月7日の15人ほどの保守系の勉強会で『もんじゅ2を敦賀に建設し、文科省には触(さわ)らせず、経産省がやる。アストリッドはフランスとのつきあいでやるだけ。原発の増設もやらなければならない』などと発言したというオフレコメモが永田町、霞ヶ関を飛び交っている」とした、この内容の事実関係の確認。

 このような考えの持ち主がエネルギー庁にいて、与党政治家の集まりで発言したとすれば、大問題だ。国会で真偽を明らかにしたうえで、的確な対応を望みたい。(編集担当:森高龍二)