国内初、遂に分譲マンションでもゼロエネハウスが登場

2016年12月23日 09:29

ZEH_Sekisui

積水ハウスが名古屋市千種区において、ゼロ・エネルギー・ハウスの高級分譲マンション「グランドメゾン」を開発する。写真は完成予想図

 積水ハウスが愛知県名古屋市千種区において、エネルギー差し引きゼロとなるネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)の高級分譲マンション「グランドメゾン」を建築、発売する。国内初の「ZEH分譲マンション」である。住宅街として人気が高い名古屋市千種区内で、2017年夏に着工し、2019年春に完成させる予定だ。

 パリ協定の発効を受けて我が国のCO2削減もいっそうの加速がもとめられている。家庭部門においては2030年までに39%のCO2削減が目標値だ。その達成のためには、積水ハウスの戸建住宅建設において70%まで進んでいるZEH対応に続き、戸数と規模の大きい分譲マンションのZEH化に期待が集まる。

 鉄骨鉄筋コンクリート構造の集合住宅は、建物の断熱性能や設備の省エネ性能はトップレベルに仕上げられる。が、高級といわれる分譲マンションでもZEH化が遅れた理由は、戸建て住宅に比べて屋根の面積が相対的に小さいため、十分な容量の太陽光発電パネルの設置が難しかったためだ。また、国も創エネという側面で課題が多い集合住宅におけるZEH化は難しいとしてきた。が、従来から住宅のCO2排出量の約3割を排出している集合住宅でも、近い将来ZEHが求められると考えた積水ハウスは、「時代を先取りし、いち早くこれに取り組む」として今回の発表につながった。

 今回の「グランドメゾン」は、3階建てで総戸数12戸の低層邸宅型マンションのため、戸数に対して十分な容量の太陽光発電システムを導入できたという。

 マンションに設置する太陽光発電システムは平均で各戸出力4kW、マンション全体で出力約50kWとなる。また、各戸に燃料電池による燃料電池システム「エネファーム」を装備する。これらの装備を総合して全住戸でZEHを達成するというわけだ。停電時には、太陽光発電システムとエネファームの自立運転機能(停電時発電機能) によって、電力を供給する。

 同物件は、これら創エネ性能に加えて省エネ性能も高い。LED照明などの省エネ設備のほか、窓のアルミ樹脂複合サッシにアルゴンガス封入複層ガラスなどを採用し、開口部の断熱性能を従来比2倍に、住戸単位の断熱性能を1.3~1.6倍まで高めた。

 また、共用部の防災備蓄倉庫などの防災対策、エレベーターのフロア制御などの防犯対策も強化し、安全・安心にも配慮した住まいとする。

 住まいの経年変化によって、さらに魅力的な住まいとなる“経年美化”を実現するため、外構には自然石による石積みを採用するなど、周辺環境との調和も重視した。

 積水ハウスは従来から業界を牽引する取り組みを環境大臣に約束する「エコ・ファースト企業」として、「グリーンファースト」ブランドで戸建や賃貸住宅において環境対策を推進してきた。高級分譲マンションの「グランドメゾン」ブランドでも、今後可能なかぎり最新のZEH化、ならびに環境対策のレベルアップを推進するとしている。(編集担当:吉田恒)