【今週の振り返り】脱力しながらミステリアスに26円上昇した週

2016年12月24日 09:10

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海外投資家はクリスマスモードで「脱力」。「掉尾の一振」は、まだちょっと先。トランプ・ラリー特急も停車かと思いきや、週間騰落が土壇場でプラスに変わる不思議。

 金融セクターはふるわなくても内需拡大期待で建設、不動産や小売セクターなどが上昇したが、2時30分に発表された11月の全国百貨店売上高は既存店ベース-2.4%で9ヵ月連続マイナス。東京地区は-1.4%で4ヵ月連続マイナスでトンネルに入ったまま。2時台のドル円は117円台後半を維持。日経平均は19500円をはさむ約30円幅で小動きしたまま大引けになり、終値19500円台はおあずけでも大幅反発。TOPIXは1550台を回復した。日経平均先物日中取引は高値引けだった。日銀のETF買い742億円は連日しっかりと入っていた。黒田総裁は記者会見で「ETF買いの減額は適当ではない」と発言。やれば、東京市場に禁断症状が出る。

 前日、公正取引委員会は出光興産<5019>による昭和シェル石油<5002>の株式取得を承認。それを受けて出光はロイヤル・ダッチ・シェルから昭和シェル株の30%余りのシェアを取得した。公取委はJXHD<5020>と東燃ゼネラル石油<5012>の経営統合も承認し、これで石油元売り大手の再編話は年内に独禁法の問題をクリアしたが、出光興産は1.11%安、昭和シェル石油は1.22%安、JXHDは1.13%安、東燃ゼネラル石油は0.47%安と、みな下落してしまった。

 新規IPOが1件。愛知県大府市が本社で、ネットリユース事業、ネットリサイクル事業を展開するリネットジャパンG<3556>が東証マザーズに新規上場。公開価格1830円より92.8%高い3530円の初値がついた。初値を後場まで持ち越したのは11月29日のエルテス<3967>以来だった。

 日経平均終値は102.93円高の19494.53円、TOPIX終値は+3.30の1552.36。売買高は19億株、売買代金は2兆3388億円。値上がり銘柄数は1230、値下がり銘柄数は626。プラスは19業種で、その上位は陸運、水産・農林、不動産、精密機器、情報・通信、小売など。マイナスは14業種で、その下位は鉱業、保険、銀行、石油・石炭、パルプ・紙、証券など。上海総合指数は0.49%安だった。

 21日の日経平均は反落。ヨーロッパはクリスマス前にテロの脅威が高まり14年ぶりの対ドルユーロ安でも株式市場は揃って上昇。大西洋を隔てたNYダウは来年のアメリカ経済への楽観的な見方がひろがり金融セクターが引っ張り、朝方に20000ドルの大台まであと13ドルに迫り終値91ドル高。NASDAQもS&P500も続伸した。朝方の為替レートはドル円が117円台後半、ユーロ円が122円台前半。大阪夜間取引終値は19550円。CME先物清算値は19540円。

 日経平均始値は52円高の19547円。高値は9時24分の19592円。安値は1時49分の19375円。終値は50円安の19444円。冬至の日の日経平均は19500円台に乗せて始まり、TOPIXもプラス。序盤は落ち着いた出だし。日銀会合も無事通過しクリスマス連休前モード。9時台は19600円まであと8円に迫った後、19500円台後半で小動き。しかし10時台から11時台にかけては、118円にタッチしたドル円が円高方向に振れて日経平均は水準をどんどん下げ、安値を更新。TOPIXはマイナスに変わる。前引けは日経平均はプラスでもTOPIXはわずかなマイナスだったが、日銀のETF買いが3日連続で入るかどうかは、微妙なところ。

 後場はほぼ前引け水準で再開。1時台前半まではプラスを保っていたが、後半に先物主導で19500円割れしマイナスに落ちる。安値を更新しながら急落して19400円も割り込む。為替のドル円も117円台半ばまで円高が進行した。3連休前の手じまい売りが早くも始まったことと、「きょうは日銀買いは入らない」と見切られた模様。指数連動ETF、特にTOPIX型の値動きと板情報を丹念にウォッチするとおおよそ察しはつくらしい。TOPIXのほうが落ち込みが大きい。2時台はドル円レートが反転して日経平均も19400円台に戻るが、プラスにまでは回復せず19400円台半ばでもみあって大引け。ワルノリして連騰記録をつくり高所恐怖症にかかるより、こんな〃雨の日〃があったほうが「日柄調整」でテクニカル指標の「買われすぎ」が緩和する。決して悪いことではない。日銀のETF買いはこの日、入らなかった。9月は11回も入ったが、10月は4回、11月は5回だけですんだので、今月は6回入ってもまだ年間枠に余裕がある。営業日はあと6日。

 前日大引け後に発表された11月の全国コンビニエンスストア売上高は既存店ベースで+0.5%で2ヵ月連続のプラス。寒波が早く来て冬のコンビニの象徴、おでんが好調。この日発表の11月の食品スーパー売上高は野菜の値上がりが影響し既存店ベースで+1.7%。2ヵ月連続のプラス。11月の全国スーパー売上高は既存店ベースで+0.8%。衣料品はふるわなくてもふとんや暖房器具や生鮮食料品が好調で2ヵ月連続のプラスだった。百貨店はトンネルに入ったままでも、コンビニ、スーパーはお天気に泣かされた8月、9月を乗り越えている。2月期決算でどこまで盛り返せるか?