【今週の振り返り】脱力しながらミステリアスに26円上昇した週

2016年12月24日 09:10

EN-d_300

海外投資家はクリスマスモードで「脱力」。「掉尾の一振」は、まだちょっと先。トランプ・ラリー特急も停車かと思いきや、週間騰落が土壇場でプラスに変わる不思議。

 新規IPOが3件。産業機械中心に各種マニュアルの作成・管理・運用を行う基幹システム「e-manual」の提供、クラウドサービス運営、マニュアルの企画・制作・翻訳を行うグレイステクノロジー<6541>が東証マザーズに新規上場。公開価格3100円の2.3倍の7130円の初値がついた。法人向けネットマーケティング支援を行うイノベーション<3970>が東証マザーズに新規上場。大引けまでに初値がつかず、公開価格2770円の2.3倍の6380円の買い気配で終了。ITインフラ、ネットワークセキュリティ製品にかかわる設計、販売、構築、運用、保守サービスを行うセグエG<7192>がジャスダックに新規上場。「セグエ(Segue)」は「続く」という意味のイタリア語で、音楽やダンスの用語。大引けまでに初値がつかず、公開価格1700円の2.3倍の3910円の買い気配で終了。3件のうち1件の初値は後場につき、他の2件は翌日持ち越しになるという、良い一日だった。

 日経平均終値は50.04円安の19444.49円、TOPIX終値は-7.42の1544.94。売買高は21億株、売買代金は2兆4195億円。値上がり銘柄数は471、値下がり銘柄数は1417。プラスは石油・石炭、パルプ・紙、卸売、保険の4業種。輸送用機器1業種がプラスマイナスゼロ。マイナスは28業種で、その下位は精密機器、その他製品、電気・ガス、鉄鋼、建設、医薬品など。上海総合指数は1.11%高。

 22日の日経平均は高値引けしても小幅続落。ヨーロッパの金融業界は、EUがスペインの銀行に40億ユーロの賠償を課したり、イタリア政府が200億ユーロの銀行支援を決めたり。世界遺産の街シエナを変なことで有名にしたモンテ・パスキの50億ユーロの増資計画の行方も依然不透明。金融セクターが軟調だったヨーロッパ市場はドイツ以外は小幅安。アメリカの中古住宅販売件数はマイナスの市場予測に反し+0.7%で3ヵ月連続のプラス。住宅ローンの金利先高感で駆け込み需要発生中。ゴールドマンサックスが1.2億ドルの罰金を科されたり、計測器メーカーのインベンセンスがTDK<6762>に買収される出来事もあったが、NYダウはクリスマス前の「脱力ムード」で小幅な値動きの末32ドル安で反落。NASDAQもS&P500も小幅マイナス。原油先物価格は週間在庫統計が増え小幅下落でも52ドル台。金先物は続落。アメリカの長期金利も低下し、朝方の為替レートはドル円が117円台半ば、ユーロ円が122円台後半。大阪夜間取引終値は19420円。CME先物清算値は19410円。

 日経平均始値は47円安の19396円。終値が高値引け。安値は9時22分の19327円。終値は16円安の19427円。政府観光局(JNTO)が前日午後4時に発表した11月の訪日外国人客数は187.5万人で前年同月比+13.8%。依然ハイペースで2016年の累計は2198.84万人。テロが頻発するヨーロッパからのシフトもありそうで、年間2500万人にどこまで迫れるか。2017年のマーケットにはヨーロッパの選挙とテロと銀行債務、金利差による新興国からアメリカへのマネー逆流が、大きなリスクとして存在する。9時に厚生労働省から10月の毎月勤労統計調査確報値が発表された。実質賃金は前年同月比で横ばい。名目賃金は+0.1%。現金給与総額は266658円で速報値から144円下方修正。所定内給与は24万638円だった。

 日経平均は19400円割れで始まる。TOPIXもマイナス。9時台は先物主導で19300円台前半まで下落して売り物をさばいた後、戻して19400円タッチ。10時台には高値を更新するがマイナス圏のまま。ドル円は117円台で動きは小さい。3連休前の手じまい売りと押し目買いが交錯する相場。午前中、平成29年度当初予算案が閣議決定された。一般会計は97兆4547億円で過去最大。消費増税を見送ったので税収は57兆7120億円で伸びを低めに見積もり、国債の新規発行額は34兆3698億円。その償還や利払いのための国債費は23兆5285億円。19400円手前で膠着していた日経平均が動き出したのは11時を過ぎてからで、いったん下向きになり19380円を割り込んだと思えばすかさず押し目買いが入り、19400円を突破し高値前引けの31円安。TOPIXは-3.14ポイントで、日銀のETF買いが入る条件を十分に満たした。

 上海市場が軟調で、後場は下げ幅を拡大し19400円を割り込んで再開。一時19350円も下回るが安値更新はせず、1時台は19300円台後半で推移する。プラスに浮上できないまま2時台は再び水準を下げる。終盤になると上昇して19400円に接近するが、利益確定売りの金曜日が祝日で1日前倒しになったのかタッチできないままモタモタ。ところが大引け間際に来週の「掉尾の一振」を期待した仕込みなのか突然の急伸をみせ、19400円をゴボウ抜きして高値引け。TOPIXも高値引け。しかしプラスには届かず小幅続落。日銀のETF買い742億円はしっかり入っていたが、この土壇場の急伸の主役は別にいるだろう。