PCO(Pest Control Operator)サービスとはゴキブリ、ネズミ、ハエ、カ、ダニなどの公衆衛生害虫予防・防除・駆除をさし、TCO(Termite Control Operator)サービスとはシロアリ予防・防除・駆除をさす。また、燻蒸サービスとは植物防疫法に基づく輸出入農産物燻蒸、文化財燻蒸、穀物倉庫燻蒸をさす。
矢野経済研究所では、国内の害虫駆除・シロアリ防除・燻蒸サービス市場の調査を実施した。調査期間は2016年8月~11月、調査対象はPCO(Pest Control Operator)サービス企業、TCO(Termite Control Operator)サービス企業、燻蒸(くんじょう)サービス企業等。調査方法は同社専門研究員による直接取材、及び電話アンケート調査、文献調査を併用した。
それによると、2015年度のPCO・TCO・燻蒸サービス市場規模(事業者売上高ベース)は、前年度比103.4%の1,258億6,000万円であった。近年、食品への虫などの異物混入事件が多発した影響で、食品メーカーは異物混入防止のためのハード・ソフト両面での改善諸施策が進められており、PCO業者にとっての追い風となっている。また、TCO業者も住宅等の長寿命化と防災面も含めた保全意識の高まりなどにより、シロアリを含めた床下工事需要の下支えもあり、長らく低迷していたPCO・シロアリ防除TCO・燻蒸サービス市場は底打ち感をみせている。2016 年度の同市場規模は、前年度比101.5%の1,278億円と予測している。
2015年度のPCOサービス市場規模(事業者売上高ベース)は、前年度比 104.9%の731億円となった。同市場は、薬剤だけでなく環境整備も含めた様々な防除対策を組合せて害虫管理を行うIPM(Integrated Pest Management:総合防虫管理)の考え方が浸透したことで需要が落ち込み、年々縮小傾向にあったものの、異物混入事件から害虫駆除施工が徹底され、需要は拡大基調に変わってきており、市場は2013年度から増加に転じている。
2015 年度のTCOサービス市場規模(事業者売上高ベース)は、前年度比 101.2%の464億7,000万円となった。同市場は、新築住宅建築におけるシロアリ防除工事の必要のないベタ基礎やシート工法の増加、及びシロアリ被害自体の減少などから、縮小傾向で推移していたものの、住宅等の長寿命化と防災面も含めた保全意識の高まりなどにより、シロアリを含めた床下工事需要が下支えとなり、市場は底打ち感をみせている。
2015年度の燻蒸サービス市場規模(事業者売上高ベース)は、前年度比 101.8%の62億9,000万円となった。燻蒸は一般的に植物防疫法に基づき、防疫検査不合格とされた一部の植物に行なわれるもので、倉庫やコンテナ等で完全に密閉した状態で行う消毒作業であり、水際で病害虫、カビ、ウィルス等の侵入を防止することを目的としている。燻蒸サービスについては港湾付近施設で行われる輸出入農産物が主体であるが、これ以外に文化財や穀物倉庫の燻蒸サービスがある。同市場でも規制緩和が進み、燻蒸の必要のない害虫の範囲が年次拡大されてきており、これにより燻蒸サービスの市場はダウントレンドをたどってきていたが、2015年度からは輸出木材関連の燻蒸サービス需要が増加しており、小幅ながらも増加基調となっているとしている。(編集担当:慶尾六郎)