2016年も残すところ、あとわずか。しかし、大晦日ギリギリまでオフィスで仕事に追われているという人も多いのではないだろうか。
この時期、体調を崩す大きな原因となるのが、屋内と屋外の温度差。そしてエアコンの使用などによる室内の空気の乾燥だ。とくに窓際の席の場合、室内は暖かいのに、席の周りだけが肌寒いという厄介な状況を経験した人は少なくないだろう。
窓が外の冷気で冷やされると、その冷気は部屋の空気をも冷やしてしまう。その逆もまた然りで、暖房器具でせっかく部屋を暖めても、窓を通して温度が逃げてしまうと、寒いうえにもったいない。これを防ぐためには、窓の「遮熱」と「断熱」が重要だ。
「遮熱」とは、外からの熱が入らないようにすることで、とくに夏場の日差しによる近赤外線を反射し、室外の熱さを室内に侵入させないようにすることだ。また「断熱」は部屋の空気を外に逃がさないようにすることで、主に冬に部屋の暖気を外に逃がさないようにする方法だ。
「断熱」の方法で一般的なものは、壁や床に含まれる断熱材だろう。とくに、ガラスを繊維状にしたグラスウールは価格も安く、住宅用断熱材市場の過半数のシェアを占めている。ちなみに、旭ファイバーグラス、マグ・イゾベール、パラマウント硝子工業など、上位3社が市場の90%以上を占めている。一方、「遮熱」の方では、アサヒペンの遮熱塗料や、家庭用では手軽な遮熱カーテンなどが売れ行きを伸ばしているようだ。
また、現在、大型のショッピングモールや西武鉄道などに採用されているのが、遮熱・断熱の両方の性質を持つ窓用フィルム「リフレシャイン」だ。このフィルムは、自動車の防振ゴム世界シェアトップの住友理工<5191>が製造している製品で、遮熱と断熱の効果を持ちながら、高い透明性を維持しているため、外の景色も楽しめる。電車内で乗客が、夏の日差しで暑苦しくなったり、窓からの冷気で寒い思いをしたりしないよう、このフィルムの採用が決定されたようだ。さらに、節電効果が期待できることも、リフレシャイン導入の後押しになったという。大型の施設や鉄道などでは、夏や冬の冷暖房費はばかにならない。フィルムを貼るだけで、使用電力が軽減されるのであれば、環境にも優しく、経費削減にも貢献する。
「リフレシャイン」は一般家庭用やオフィス向けにも販売されているようだが、まだまだ浸透はしていない。天井や床、壁などの遮熱、断熱と合わせて、窓の熱にも気を配れば、たとえ窓際でも、夏も冬も今以上に快適に暮らせるのではないだろうか。今後の展開に期待したい。(編集担当:藤原伊織)