「IT」は今や、我々の生活には欠かせないものとなった。ITとはご存知の通り、Information technology、「情報技術」の略で、情報を取得、加工、保存、伝送するための一連の科学技術のことをいう。専門的な知識がなくても、「IT」と聞けば何となく、コンピュータやそのプログラムを使って動作するモノやサービスをイメージできるだろう。そして、そんなITが、今よりももう一歩進んで、通信コミュニケーション手段を内包すると、今最も注目されている「ICT」になる。
ICTはすでに、我々の生活の中に浸透しはじめている。例えば、農業もICTで進化を始めているものの一つだ。
これにはNECが力を入れており、圃場・栽培品目ごとの採算性を見える化する、「農業経営支援サービス」の提供や、様々なセンサーや端末などをネットワーク化する「M2M技術」を施設園芸向け・監視サービスに活用する「農業ICTクラウドサービス」などを展開しており、就農人口の減少と高齢化の問題を打開するための一つの方法として期待されている。
医療分野でも、ICTの導入は積極的に始まっている。
ICT技術を活用することで、地域の医療機関や介護事業者がより迅速かつ適切に、患者や利用者の情報を共有、連携させることができる。また、それらのデータを集積し、分析したり活用したりすることによって、国民の健康管理、施策の重点化や効率化、医療技術の発展、サービスの向上を図ることができる。また、富士通などはより一般的に、在宅医療向けの介護事業者向けシステム・高齢者ケアクラウドなどを展開して注目を集めている。
住宅分野では、スマートハウスやスマートシティといったかたちで、ICTの導入が進んでいる。住宅でのICTの活用は主にエネルギーや環境に集約される。例えば、埼玉県さいたま市が募集した「浦和美園スマートホーム・コミュニティ整備事業」に、行政・公益団体・民間企業で構成するネットワーク「埼玉県住まいづくり協議会」による提案が採択され、現在、低炭素で災害に強く、コミュニティを育むことができるまちづくりを目指して、計画が進行している。、協議会会員会社の中央住宅、高砂建設、アキュラホームの3社が2016年3月から着工しており、「HEAT20さいたま版G2」という高断熱高性能住宅をベースに、情報通信技術を駆使したスマートなまちづくりが始まっている。また、こういったスマートハウスが発展すると、医療分野やヘルスケア分野のICTなどと連携することによって、高齢者にも優しいまちづくりが行われていくことだろう。
ITからICTへ。今、社会が大きく変わろうとしている。便利なだけでなく、少子高齢化の進む日本社会にとって、ICTは必要不可欠な技術なのだ。(編集担当:藤原伊織)